思い出のいっぱいつまった一年、その一年がまた終わりを告げようとしていた。
此処、アクアで行われる大晦日は、地球とは少し違う・・。
地球では家族で過ごすというのが相場。
でも皆で過ごす大晦日もまたその味わいがあるのだから・・・。
そして、一年が終わりを告げるのは、ある意味では寂しいものなのかも知れない。
灯里:はひぃ〜外は冷えるですぅ〜
窓を開けて、夜空を見ても、星々が輝いていた。
そして何より先日に雪が振ったのか、辺りが冷え切っていた。
アリア社長:ぷいにゅぅ〜
息を吐く度に白い息が空気に舞う、気温が低い事を示しているのだろうか・・・。
それでも、そんな冬もまた味わいがあるもので・・・。
灯里:今年もまた一年が終わりを告げようとしていますね・・。
そんな言葉を私はアリア社長と語っていた。
今年の思い出はまた、来年にもつないで行くという事を・・・。
アリア社長:ぷいにゅぅ〜
アリア社長はそれに答えてくれるように返事をしてくれる。
そしてもう時間なのかなという思いがしたのだった。
灯里:行きましょうか・・・。
また今年も、私達は修行を行った友達と終わりを告げる為に向かうのだから・・・。
でも今年だけは少し違った。どう違うのかは良く分からない。それはこの先の秘密・・・・。
始まりは此処から・・・。
藍華:やっほ・・・灯里・・・。
そう声をかけてくれたのは、同じ修行を共にしている姫屋の藍華ちゃんで・・・。
私は何処か寒すぎて、声を出すのもガチガチになっていた。
藍華:ギャーーーーース!灯里、何するのよ・・・。
顔が暖かそうだったから・・・ただ、頬に触れただけでも冷たさが伝わってしまう。
突然触られただけで、誰でも驚くというようなものだった。
晃:何だお前達、またやってるのか?
そんな言葉を呟いたのは藍華ちゃんと同じ社に働く同僚の晃さんで・・・。
あれ?今日はいつもと違うな・・・何て思う所もあった。
晃:いい加減出てこい・・・。
そう晃さんの腕に連れられて来たのは黒髪の蒼い瞳の私達と同じ年の女の子で・・・。
何処かその子は照れているのか、また隠れようとしていた。
「いやだぁ〜やっぱ帰る・・・。」
そう行ってる彼女は何処か幼さが残っているような感じだった。
でも晃さんが、面倒を見ている所など滅多にみれないようなものだと思った。
アリシア:あらあら・・・また晃ちゃん無理をさせたのね・・・。
そう声をかけた人物は私達の背後にいて、何処かこんな行動を予想していたように声をかけてきた。
何処か明るめに、アリシアさんは私達の前に現れて笑顔を見せている。
灯里:はひぃ〜アリシアさん・・・。
そんな行動を晃さんは人睨みして、溜め息を漏らしていた。
晃さんの腕にはやっぱり先程の彼女、ちゃんが何処か地団駄を踏んでいて・・・。
晃:アリシア・・お前が例年誘わないからだろ・・を・・・。
そんな言葉を呟いている晃さんとアリシアさんは、慣れているのか笑い合っている。
そして何処か、抵抗をやめたのか晃さんの腕で藻掻いていた彼女も溜め息を漏らしていた。
アリシア:うふふふ・・だってねぇ〜
そう呟きながらアリシアさんは先程の彼女を見つめている。
アリシアさんが見つめていた彼女は何処か照れていて、そして呟き始めた。
:お姉ちゃん強引何だもん・・・。
そう呟いた先には、晃さんを見つめていた藍華ちゃんがいて・・・。
そして彼女、ちゃんは何処か周りの私達を見つめながら照れていた。
藍華:え?お姉ちゃんって・・・えぇ〜〜
一番最初に何処か気が付いたのか、藍華ちゃんは晃さんと彼女を交互に見つめていた。
そして晃さんはそんな藍華ちゃんを見つめながら溜め息を漏らした。
晃:私の妹のだ・・。まあ、お前達は会うのは初めてだったな・・・。
そんなこんなで紹介をしてくれた時、藍華ちゃんも私も驚くしかなかった。
晃さんに妹がいたことも私達は知らなかったのだから無理もないのだろうけれども・・・。
:あの・・・そのぉ〜宜しく・・・。
そう小さな声で呟いたちゃんは何処か可愛かった。
晃さんとはまるで正反対の性格だったのだから無理もないのだろうけれども・・・・。
アリシア:あらあら・・ちゃんはまだ進路決めてないの・・・。
そんな言葉にちゃんは何処かまだ照れている。
姿を見れば、アリスちゃんと同じ高校だという事も直ぐに分かった。
:えっと・・・決まったには決まったのですけど・・・。
何処かモジモジと辺りを見つめ、そして晃さんを見つめて・・・。
そんな態度に晃さんは溜め息を漏らしているばかりであった。
晃:も水先案内人に来年からなるのさ・・・。
そんな言葉を軽々と晃さんは呟いた。
ちゃんはまた何処か照れ隠しをしながらその場で縮こまった。
灯里:じゃぁ〜私達の後輩ちゃんになるんだ・・・。
そんな私の言葉に何処かちゃんは頬を赤く染めて可愛らしかった。
そんなからかいをしている中で、私達は今までの事を思い出していた。
当然、私達が年越しで食べる豆を口に入れながら・・・。
そんな在り来たりな事が、楽しいと思えるのは・・・幸せな事だった。
藍華:え・・じゃぁ〜何処の社なの・・。
ちゃんが私達の後輩になる事に興味を持ったのか、藍華ちゃんが質問をしていきた。
私達は晃さんと同じ姫屋に入るのだろうと思ったけれども、全く別の答えが返ってきて・・・。
そして今の藍華ちゃんの質問になった。気になる事はいっぱいあるけれども・・・。
それでもちゃんが何故、晃さんと同じ社に入らずにいたのかは分からない。
:その・・・オレンジぷらねっと・・・。
そう呟いた時、ちゃんが理由を話してくれた。
晃さんと同じだと、何処か自分でも憧れるから、それ以上のものを求めてしまうから・・・。
だから違う場所に入って、同じように目標を作って頑張りたいという事だった。
その事を知った私達は、何処か凄いなと正直に思った・・・そして・・・。
アリシア:うふふふ・・・もうじきカウントね・・ちゃん久しぶりでしょ・・。
この広場に大晦日集まる事を、ちゃんは余りしなかった。
人混みが苦手という理由からで、それでも毎回晃さん達が連れてこようとするみたいだけど・・・。
:はい・・でもやっぱ・・・。
何処かまだ人混みには慣れてないのか、顔見知りがいないと辛いようだった。
そしてちゃんは晃さんの顔を見つめて、何処か晃さんは溜め息を漏らしていた。
晃:慣れとかないと後が辛いぞ・・・。
そんな面倒見のよい晃さんを見るのは、私達には初めてだった。
そして皆が騒ぎ出していた・・・今年もまた一年が終わろうとしていた。
10
広場に皆のカウントが広がり始めた。
何処かもう今年とはお別れのような感じだった。
9
晃:来年はお互い忙しくなるぞ・・・。
8
そんな晃さんの言葉をちゃんは何処か温かく感じていた。
お互いが姉妹で、気持ちが通じ合える事が本当に素晴らしいと思った。
7
カウントダウンももうじき終わりを告げようとしている。
皆が来年を迎えようと鼓動を高めている・・・もう早く来年が迎えて欲しいというように・・・。
一瞬だけど、ほんの一瞬・・・何処か、今までの事を思い出していた。
もうカウントの声が聞こえなかった・・・ほんの一瞬だけ・・・。
5
微かにちゃんは空を見つめて、そしてまた晃さんを見つめた。
何処かその瞳には輝きがあって、ちゃんは晃さんに呟いた・・・。
4
:来年も宜しくね・・・。
3
そんな小さなちゃんの声が晃さんには届いていた。
それが精一杯のちゃんの心であり、晃さんはそんなちゃんを温かく迎えていた。
2
晃:当たり前だ・・・。
晃さん達が堅く絆を結んでいる時、私達は何処かもう一人の後輩を考えていた。
今此処にいない・・・もう一人の後輩に・・・・。
灯里:アリスちゃん・・忙しいって聞いたけど・・結局無理だったね・・。
最後の夜を飾るイベントなのに、そう思いながら寂しがっていた。
そんな中で、藍華ちゃんは明るく、私に声をかけてくれた。
藍華:また来年も共に過ごせるわよ・・・。
1
来年はちゃんもオレンジぷらねっとで、頑張るという目標を持ちながら・・・。
そして私達と同じ夢を心に画いて・・・新たな始まりを意味していた。
そしてもう一人の後輩として、今此処にいないアリスちゃんと共に、夢を・・・・。
此処から始まりは唐突で、そしてまた新たな仲間が増えていく・・・・。
そして皆が声を一声にそろえて叫んだ。
その時、今年今まで使っていた物を皆が投げた・・・。
Augurio Buonanno
今年も一年が良い年でありますように・・・。
そう私達の物語は、全ては此処から始まりを告げたのだった。
〜 Fin 〜
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Music Box/遠来未来-Enrai_Mirai- by:七曜-木- |