毎回思ってしまう事、そして毎回会う度に睨み合うばかりだった。
簡単に言えば、私は彼奴が嫌いだった・・・ただ彼奴の前だと素直になれない。
だから私も彼奴もお互いがお互いを意味もなく嫌う・・・。
そして今日もまた彼奴と私の無意味な喧嘩が始まりを告げた・・・。
話をすれば、お互いがお互い喧嘩の理由なんて何もない・・・。
でも思っている事は直ぐに言葉に出てしまう。だから・・・そう彼奴だけは、嫌いだ・・・。
「だから・・どうして乗せなきゃならない訳・・・」
そう呟いたのは、私と同僚のちゃんで、私のゴンドラに乗っている暁さんに呟いていた。
この二人が完璧に仲が非常に悪い事も、私達は良く知っていた・・・。
それ以上に同じ浮島の出身ならもう少し仲が良くても可笑しくはないのに・・・。
でもちゃんも暁さんもお互いに意地を張りすぎていて、私には何が何だか分からなかった。
暁:俺達、友達なんだから・・良いだろ・・・。
指導員がいないのに、お金を取らずにただ乗りさせるのはどうも気にくわない。
だけど、どうしても歯向かえない・・・絶対にこの男だけは・・・。
怒りながらも私は諦めてしまう。もうこの男に歯向かう気力すらなくしてしまう。
そして今日もまた私は負けを認めてしまう・・・毎度の事ながら・・・。
負けを認めるのが苦手な君に・・・。
:そんなにアリシアさん目当てなら予約すれば・・・。
皮肉な言葉をちゃんが吐きながらも、何処か一緒にゴンドラ漕ぎの練習をしていた。
そんなちゃんからは溜め息を漏らす事ばかりで・・・。
:あぁ〜あんたと幼馴染みっていうだけで災厄なのに・・・。
その言葉に何処か小耳をたてながらも暁さんは反論をしようとは考えなかった。
そう暁さんの気まぐれは毎度の事、そのせいで慣れてしまった事もあったのだから仕方がない。
暁:練習に付き合ってやってるんだ・・・有り難く思え馬鹿者・・・。
その威張った態度がどうやらちゃんにはお気に召さないようで・・・。
私、灯里は何処かちゃんと暁さんを交互に見つめながら緊張をしていた。
:あんたの威張り態度どうにかならない訳?ありがた迷惑なのよ!
どうしてこうも二人が意地っ張りになっているのか互いに私は聴いた事がある。
そしたらお互いが同意見だったらしく・・・・。
暁:何って負けたくないからだろ・・・。
ちゃんがいない時に暁さんに聴いて、そして暁さんがいない時にちゃんに聴いてみた。
そして予想していた通りの意見がお互いに返されてきた訳で・・・。
:何って負けたくないに決まってるわ・・・あの意地っ張りには・・・。
そんな行動が何処か可笑しく思えたのは言うまでもなかった・・・。
でもどうして気持ちがすれ違うのかは、私なりには考えた事はなかった。
だってちゃんも暁さんもこれがお互いの表現方法なのだと知ったときには・・・・
ただこれが、日常生活にとっての普通の会話なのだと理解出来たから・・・。
:何を人の顔見て笑ってるのかな・・・。
ちゃんが何処か私の表情が気にくわなかったのだろうか?
そしたらいきなり顔の頬をつねった。正直、驚く事しか出来なくて・・・・。
灯里:はひぃ〜
これが私自身、自分に対して鈍感な所で・・・・。
ちゃんはそんな私をからかっている。何処か親友のように・・・。
:もぉ〜意地っ張りのせいでアリアカンパニーまで来ちゃったじゃないの・・・馬鹿・・・。
そんなちゃんの一言は私のゴンドラに乗っている暁さんに向けられていて・・・。
何処か二人の喧嘩はもう当たり前になっていたのに、お互いが気付かないのが可笑しかった。
暁:練習に付き合ってあげたんだ・・・有り難く思わんか!
お互いに睨み合いの勝負となっている・・・。
そんな行動を知っているのか、アリアカンパニーの扉が開いて・・・。
アリア社長:ぷいにゅぅ〜
大きな蒼い瞳の火星猫が、アリアカンパニーの社長が私達を見つめていた。
何処かおびえた様子もなく、ただ私達をずっと見つめている。
灯里:はひぃ・・・アリア社長・・・。
何処か私はこのパターンには付いていけなかったのは、羨ましかったからなのかも知れない。
そしてアリア社長の後ろでは、アリシアさんが暁さんとちゃんを見つめていて・・・。
アリシア:あらあら・・・。
その微笑みは、ちゃんと暁さんに向けられていて・・・。
何処か幸せそうな感じで・・・辺り一面に漂わせていた・・・。
暁:っは!?アリシア・・・さん・・・
何処か頭の上に蒸気が沸き起こるように、暁さんは硬直をしていて・・・。
そんな暁さんにちゃんは溜め息を漏らしていた。
:おっかけ・・・つうか、今度予約すれば良いだろ!
そんなちゃんの言葉に暁さんは、聴いていなかった。
ただアリシアさんを見つめているだけで、幸せそうな顔をしていたのだから無理もなかった。
アリシア:うふふふ・・・・そろそろだと思って生クリーム入りココアを用意しといたわ・・・。
そう告げると、アリシアさんとアリア社長はアリアカンパニーに入っていった。
私はちゃんに顔を向けると、いまだに暁さんの事で溜め息を漏らしているのか呆れていた。
:入るわよ灯里!
こうなるといつものように、暁さんをアリアカンパニーに招待する。
何だかんだとちゃんは何処か暁さんには甘い事を私は知っていた・・・。
灯里:はひぃ・・・。
そして私達はちゃんに導かれるようにアリアカンパニーに入っていく・・・。
ただ此処が私達にとっての我が家のように・・・・。
暁:・・・・・・・・。
それでも何処か暁さんはちゃんがアリアカンパニーに入ってからは何処か考え込んでいた。
これも毎度の事で、その理由を知っている人などいるはずもなくて・・・そして・・・。
暁:おい・・
アリアカンパニーに入り、暫くたってからの事だった。
暁さんがちゃんに突然声をかけて来たので、正直驚いた・・・。
:何よ・・・。
それでも何処か意地っ張りな口調でちゃんは暁さんに話をしている。
私は何処かそんな行動を見守っていた・・・。
暁:お前が一人前になったら、お前のゴンドラを予約する・・・。
そんな小声がちゃんには届いたのか、飲みかけのココアを中断した。
何処かその言葉にちゃんは照れているのか顔を赤くした・・・。
暁:俺が言った言葉は本当・・・・だからな////
そう告げた暁さんも何処か緊張をしていたのだった・・・。
そんな暁さんにちゃんはまた生意気な口調で話をし始めた・・・。
:絶対だからな・・・でなきゃ、お前の負け、私の勝ちだからな・・・。
そんな不適な笑顔が、何処か二人の空間を明るくしていた・・・。
それでも毎度、この二人は素直になる所もあればならない所もあって・・・・。
その生活がこれから先も、ずっと続いていた・・・私達が一人前になるまで・・・そう、ずっと・・・・。
〜 Fin 〜
|
Music Box/FINAL STAGE by:幼子の祈り |