その瞳からこぼれ落ちる雫は、誰の為にあるのだろうか・・・。
彼女の心にあるのは絶望と虚無、もう物語は終幕へと迎え入れられるのだから・・・。
友情の輪が、その欠片が一つまた一つと減ってしまった。
仲間の心とは境に、ただその欠片を探しても何も見当たらない・・・。
心の虚しさは、空っぽの欠片は私、の心から埋まること叶わず・・・。
ただ探しても見つかるはずはない・・・それが現実、幕開けである記憶戦争。
彼奴を俺は泣かせてしまった。俺は何をしていたのだろうか?何を考えているのだろうか・・・。
盗賊である俺には女など必要ない。だがこの感情はいったい何なのだろう?
彼奴は俺の為に泣いている。泣くなという感情が脳裏に浮かぶ・・・。
だが、俺は明らかに同じ過ちで同じ人物を求めている・・何故?
貴方と私、その欠片は2つで一つだという事に気付くことなく・・・。
光の中へ完結する物語 〜 バクラ 〜
そうそれは、私、とバクラのいまだに分からずにいた愛しき感情。
気付いたときには、こんなにも遅すぎて芽生えた感情に後悔をさせられる・・・ただそれが現状。
冥界の石盤が安置されている冥界の神殿。そこでアテムと遊戯、最後の決闘が行われた。
ただ、記憶戦争で王の名を取り戻すためにどれ程の苦労をしたのだろうか?それは今となって後悔の思い出。
結果的にアテムは冥界へ帰り、バクラは記憶戦争で自ら滅びた。
ただ、その感情に気付いてしまったときの空っぽの感情が心に芽生えている・・・。
いつもいる存在が消えてなくなった。どんなにその存在を意識していたのだろうか?
その存在がなくなってしまった事でどんなに寂しい現実を迎えてしまったのだろう・・・。
今となって理解してしまったことに後悔をする私の心。
記憶戦争での約束、芽生えてしまった過去の記憶と感情。会いたいという気持ち、今の貴方は何処にいるのだろうか・・・。
まるで私の心は冥界への船旅を行っているように空っぽ・・・その空席は誰が埋めるのだろうか・・・。
彼奴はまだ、は俺を、俺様を求めているのだろうか?いや求めているはずはない。
彼奴の涙はあの時だけだ・・・。俺にとっては無縁に等しいだろう・・・。
だが、俺が彼奴の側に現れないのは理由すらない・・・。
そして噂だけで聞いていた。が俺を捜し求めている事を、だけれども俺様はの側にはいられない。
俺様は宿主の肉体を借りて現世でも行動が出来た。だが今の俺様は魂だけの存在。
肉体さえあればどんなにを抱いてやることができるか?どんなに支えになってやれるかと考え込む。
だが、魂だけの存在でも俺をずっとは永遠に待ち続けている・・・。
ただ俺様との約束を信じて、そんな約束を守れるはずがないと理解しているにも関わらず・・・。
気付いたときには全てが遅すぎたのだ・・・。どんなに俺様が彼奴を思っていようが・・・。
俺様は死に、彼奴はは生き続けている・・・。笑えない冗談だ・・・本当に、だがこれが現実・・・全ての・・・。
そう全ての始まりはあの記憶戦争からだ。記憶戦争の中で、アテムとバクラは互いに争い・・・
だけれども、アテムの名を探すためだけに私たちは記憶戦争の中にいる。
私は遊戯と共に、同じように行動をしていた。
だけど、何故か切ない感情が心に刻まれていて、アテムを見るたびに心が壊れていった。
だけど、バクラとは何故か再会のような感覚に芽生え始められる。
深く芽生えた心など、今の私には刻まれていない。
不思議な感覚は、今も心に刻まれている。ただ誰かを待っている、何故・・・?
アテムの名を探すためだけにどれだけの時間を費やしたのだろうか?どれだけの犠牲を払ったのだろうか?
ただまだ何も知らない感覚・・・ただ知らなかった方が幸せであったあの頃・・・。
三千年前、ただ何も知らず育った兄妹がいた。彼らは互いに求め会っていた。
ただ闇の存在を知らずに育ったアテムと。王族の血筋を引く2人だけの兄妹・・・。
アテムが即位をしてから数ヶ月。そして幕開けとなった始まり・・・。
王権制度崩壊の序曲。盗賊バクラは王に反逆をした・・・。
ただその頃出会ったをバクラは忘れることなどできずにいた。
逃げ回るにつれて脱出するのが困難になりかけていた、ただそんな時の出来事。
:もし?其方の方、何故逃げているのですか?
バクラにとっては人の目を離れたいと考えていたにも関わらずだ・・・。
ただ何気ない、衛兵の言葉があたふたと王宮に響き渡る。
:クスクス・・
ただは口元を手で隠しながら笑いをしている。
そんな表情をバクラは気にくわないと思っていた、ただむかついた女としてでしか・・・。
バクラ:何がおかしいんだ?
:クス、こちらへ・・兄に追われて居るんでしょ?
不意を付かれてしまったのかバクラは女を利用できると考えたのだった。
素直に女の行動に従っていた。一角の部屋、誰もいない部屋。
:貴方の名は?
ただ刹那のような感覚、月明かりに照らされた2人の陰。
バクラは利用しようと考え、からはバクラを放っておくことなどできはしない。
バクラ:バクラ。貴様は・・・
は静かにお辞儀をする。
そして微かな口元から声が漏れ始める。
:私の名は。ファラオの妹・・・。
王家など信用おけない。だがは何も語らずに隠し通路を教えたのだった。
ただ真剣な眼差しからはバクラの信頼など考えもつかず・・・。
バクラ:貴様は?何故俺を・・・
:さぁ〜何ででしょうか?一目見て貴方に好意を抱いたからでしょうか?
その日以来は、バクラに会う為だけに王宮を抜け出していた。
それは神官達にも予想できず、兄、アテムにも予想できぬことだった・・・。
そして終幕を迎え始めた頃、アテムとはただ兄妹の絆を失いかけていた。
はバクラを愛し、アテムはとバクラの関係を知らずにいたからだ・・・。
そして何も知らずにいた。ただ精霊の攻撃はバクラにではなく・・・。
は、バクラを庇い命を落としてしまった。その真実は知らず。
そして憎しみは憎しみをまし、全ての結末はその場で終わりを告げた。
ただ虚しく、脳裏に次々と刻まれていく戦いの記憶。
それがこんなにも切なくて再会を待ちわびていた人物、今頃になって気付いた。
それは全て遅すぎた結果だった。悲しみの刹那に・・・。
今俺は、遊戯と決闘を行っている。
呪いの双子人形の魔法カードの効果でライフポイントには差がある。
だが、死札相殺の効果で、フィールド上のモンスターと、おたがいの除外されたモンスターの数からだ・・
デッキからカードを墓地送りにして、遊戯のデッキを破壊していく、俺様には墓地がない。
遊戯のデッキのカードが残りあと一枚になった所だった。
俺様はその光景に圧倒された。破壊竜ガンドラを遊戯がフィールドに召喚をし、俺様のアンデッドロックデッキを破ったのだった。
ただ、サイレント・ソードマンの攻撃が俺様のライフポイントを削った。
俺様は遊戯に負けた訳だ。だが闇のゲームは命を落とすゲーム。
俺様はただその場で倒れ込んでしまったのだった。
その時の私の心からこんなにもバクラの存在を意識していたのか?そんな感覚が芽生え始めてくる。
全ての三千年前の結末が脳裏に浮かんで、ただ虚しさの心が浮かび上がる。
城之内:急いでもう1人の遊戯の元へ向かおうぜ・・・
私の体はその言葉を聞いたとき硬直してしまって、ただ体が震え始めている。
城之内達が走り始めた時、私にはどうすることもできずにいた。
不意を付けば遊戯が立ち止まって私の方に近づいてくる。
私の思考は仲間として皆と同じ行動をとりたいと考えている。だけど体が言うことを利かない。
遊戯:?どうしたの・・・
:ごめん。先に行ってて貰える?後から行くから・・・。
遊戯は何かを察したのかそれに頷いてくれた。
城之内達の姿が見失った頃、バクラが倒れている側に駆け寄ったのだった。
そうあの時、三千年前と同じ、私は彼を、バクラを愛している。
本当に、築かなかったのが馬鹿だ。自分で本当に馬鹿だと何度も叫び続ける。
は、彼奴に似ていたんだそうに・・。
確かにはアテムの妹だ。だがそんな事は関係なく、俺様はに惹かれていたんだ。
だからに好意を抱いていたのではなく、愛していたのだろう・・・。
だがはあの時、俺様の側で命を落としたんだ。その怒りは今も俺様の中にある。
こう闇のゲーム、アテムか闇の大蛇神が勝つか?どちらが滅びようが俺様には関係ないんだがな・・・。
:ねぇ?バクラ聞こえてるよね・・・。
一滴が俺の顔にこぼれ落ちる、瞳を開ければ、が其処にいた。
遊戯達と一緒にここから抜け出していたと思ったが・・・。
バクラ:・・・。
俺様はただ過去の事を思い出して、懐かしい思い人の名を口にした。
ただはそっと笑顔を向けていた。何故かは俺様には分からなかった・・・。
:そうだよ・・・私だよ・・・。
はそっとだと自分を告げている。
ただ思い出したから、もう現実から逃げ出したくないというように・・・。
バクラ:そんな顔するんじゃねぇ〜よ!お前は早く遊戯達の元へいけよ・・・
は首を横に振る。静かに涙をこぼしながら・・・。
せめて泣くな、また俺様にはその感情が浮かび上がる・・・。
それ以上に本当の笑顔を見せて欲しい。俺様にとっての唯一の願い。
全く変わってないじゃねぇ〜か?俺様が愛する女はよ!それでも俺様から逃げないんだな。
バクラ:、俺様を待っててくれるか?
必ず俺様はの元に返ってくると覚悟を決めた。
ただ、こんな終幕を迎えたくはないんだよ!
その言葉を私は、待っていたような気がする。
その言葉だけが欲しかった。やっと素直になれた気がする。
今の自分を見つめて、バクラから現状を逃さないように・・・。
ただバクラに対して素直な笑顔がこぼれた・・・。
涙は流れ続けている。なのに私は嬉しい・・・。これが私の歩む道。
:待ってるよ・・・いつまでも・・・
バクラ:そっか・・・
俺様はそれに安住を浮かべた。ただ少しだけ立ち上がるとは俺様の体を支える。
だがそんなの感情は不安でいっぱいなのだろう・・・。
バクラ:早くいけよ・・・
俺様はその場でが姿を消すのをまった。少しずつ彼奴が歩いている方向を見送る。
俺様は心の中で覚悟を決めていた。彼奴を必ず捜すと、そうを・・・。
現実に俺様は今、を捜している。
新たな肉体を得て、途方に暮れていた終幕を迎えるべく為だけに・・・。
あの記憶戦争でのことは全て真実だから・・・。
ねぇ〜あれからどれくらい待ったのだろう・・・もう途方に暮れているよ・・・。
もう待ちくたびれたよ・・・何年、何ヶ月待たせれば気が済むのだろうか?
本当にバクラは約束を守ってくれるのだろうか?いや本当に覚えているのだろうか?
途方に暮れ、進むべき道すら分からない・・・。
変わらない生活、変わらない行動・・・。
もう私は、ここに居るべきではないんだろうか?本当に不安を抱く・・・。
アテムも居ない、学校へ行っても過去のことが全て幻のように感じられる・・・。
何もなかったようにできないでいる私・・・。それが今の私・・・。
生きていても何も意味がないような気がした・・・。
途方に暮れている彼奴を俺は童実野埠頭当たりで見かけた・・・。
それでも、大切な存在を心から待ちわびていた。
俺様はお前の為だけにいるんだ・・・。
お前と共に生きたいという願いの為だけに・・・。
バクラ:見つけたぜ・・・。
その懐かしい声、聞き覚えのある声、嘘・・だって彼はいない・・・。
どんなに待ちわびても・・・。なのに今、私の目の前にいるのはずっと待ち続けた人、本当に愛しき人。
:バクラ・・・。
また俺様の前で涙を流すのか?もう離れない・・・。
それが最後の涙である事を願うぜ・・・本当に・・・。
バクラ:もうお前を離す者か!ずっと一緒にいてやるから・・・。
俺様はそっと愛しき人を優しく抱きしめる・・・。
千年宝物を持っていなくてもその存在は分かる・・・。
今の私にとって真に嬉しき事などなかった。その人物がバクラである事に・・・。
変わらない顔。変わらない白い髪。その蒼い瞳に見つめられた時の嬉しさ・・・。
二度と離れたくない。そんな感情が今ある・・・。
俺様は、私は・・・今互いに愛し合っていく・・・この現代で・・・。
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Music Box/遠来未来-Enrai_Mirai- 逆凪 諒様 by:六花-りっか- |