残り僅かな時間。それは紡がれし彷徨いの魂の宿命。
孤独と虚しさだけが感情的にあらわになる。定かでないこの感覚に・・・
いつもと違うアテムの感情。心の奥底で鼓動が鳴り響く・・・。
ただなにも知らない方が幸いだったのかも知れない現状。その境は何処に・・・。
あの時、本当に進むべき道が正しかったのだろうか?
それがどんなに今を苦しめる事になろうとは・・・。
今、この場で繰り広げられているアテムと遊戯、二人の決闘者。
その決闘の結末はあまりにも悲劇で、ただ私、には進むべき道が分からなかった。
そう全てはあの日、記憶の世界での始まり記憶戦争からの幕開け・・・。
光の中へ完結する物語 〜 アテム 〜
ただその頃の感情は、友情を守るための存在。
それが今の私とはけた外れの感覚に覚えてくる。
闇人格のバクラとの決闘。そこで遊戯は勝利した。
その先に待っていたアテムとの再会。それまで苦労をし続けた王の名。
記憶戦争の始まりはそれが目的で行われた。
どんな結末でも結果的に本当の真実を見つけてしまう・・・。
未来は結果的であり、それは光の完結へと導く・・・。
その時はまだ知らなかった戦いの儀を・・・。
記憶戦争後、その頃には知らなかった芽生えた感情。
童実野高校屋上。ただ、アテムに呼ばれてからどれくらいの時間が経過したのだろうか?
空がオレンジ色に染まり始めた夕方頃・・・。
屋上で二人の陰が地面にうつしみとしてあらわれる。目映い光と共に・・・。
放課後の出来事だった。帰り支度をしていた・・・。
ただその日は部活動や委員会活動などが行われていた為帰りが遅れた。
教室に入っても誰もいる気配はない。いつもそれが続いている。
けれど今日だけは違った。遊戯が窓を見つめながら教室にいるのだった。
いつもなら城之内や杏子達と帰っているはずなのに・・・。
:遊戯・・・?
遊戯:ん?あぁ〜か・・・
:どうしたの・・・だってもうこんな時間だよ?
遊戯:僕は用はないんだけど・・・もう一人の僕がね・・・。
私は何を言い出すかと思えばもう一人の遊戯、いやアテムが用事を済ませたいからと放課後いたそうだ。
しかもその相手が私自身であったことに正直驚いた・・・。
:用があるなら言ってくれればいいでしょ?早めに済ませたのに・・・
アテム:いや、待っていた方がこっちも気が楽だからな・・・
なにかいつもと変だ・・・。いつもならその選択を選ぶのに・・・。
しかもいつの間にか人格交代もされていた。屋上に移動したのはそれからだった。
時間が経過をし、沈黙状態が続いている・・・不意に不安な感情があらわにする。
気が付くはずなどなかった。その時の本当に感じていた感情は・・・。
俺は、相棒に帰りを待って貰った。理由を話せば何を言い出すか分からない。
だからなにも告げずに、を待つことを何とかして頼んだ。
を意識し始めたのは、あの時からだった。
転校をしてきた初日には何も感じてはいなかった。だが次第に意識をしはじめていた。
気が付いた時には後戻りができないほどに先へと進んでいた。
だから今日だけはこの感情を伝えなければならないだろう・・・例えどんな返事だろうと・・・。
彼奴の感情よりも俺は、後僅かしか仲間としていられないんだ。
アテム:、俺はお前がどう思ってるか分からない。だがこれだけは、ハッキリ言わせて貰うぜ!
風が髪を靡かせる・・・俺自身の気持ちがあふれ出てくる・・・。
不意に俺自身、右手の拳に力が入る・・・本当に俺自身が望む言葉を口にするのは正直に勇気がいる。
が今、どんな表情をしているかなど、気にしていられない。
伝えなければ何も意味は始まりをつげないのだから・・・俺自身、それは自分が一番良く理解をしていた。
アテム:、俺は・・・お前が・・・お前が好きだ!
それが今の俺自身の気持ち・・・。
は真実を見極めるような表情をあらわに示している・・・。
答えなど必要ない・・・それだけでいいんだ。
俺は微かな笑いと共に瞳を閉じた・・・どう思うがの勝手だ・・・。
アテムに告げられた言葉、私の体は不意を付かれた用に震え始める。
初めて感じる感覚、なんなのだろうこの感情・・・アテムに対する気持ち・・・。
待っていた言葉、ずっと遙か昔から待っていた言葉・・・。
だけど、今そんな言葉を告げられても何も感じる事ができない・・・。
彼の名を聞いたときから・・・。全てはその日流れていった。
アテムはその場を去り、私はへたれ込みながら座る・・・。
ただ人形のように時間が過ぎていく・・・。
その日から、私の全ては変わり始めていた・・・。
「遊戯:ねぇ?もう一人の僕、どうして告げたの・・・」
もうちょっと冷静に考えて欲しかった。の気持ちを・・・。
でもそれが壊れてしまっても構わないのだろうか?もう一人の僕は・・・。
アテム:さぁ〜な・・相棒は気付いていたんだろ・・・こうなること・・・
俺は、相棒が疑問をぶつけてくると感情的に理解した。
だから黙っていた・・。いやむしろ話すべきだったのかも知れない・・・。
「遊戯:まぁ〜頼まれた時ははじめから仕方ないと思っていたよ・・・」
そうもう一人の僕は、と話をしたいと頼んできた。
それが何となく理解できた。だけどこれが最後じゃなくても告げていただろうか?
本当のもう一人の僕がに思っていた気持ちを・・・。
アテム:もう俺に迷いはないさ・・・。
迷い・・・それは正直ある・・・。
今のこの時間をもっと続けたい。だが俺の未来は・・・
「遊戯:でもそれは君だけ・・・もう少し考えて行動してよ・・・」
こんな暗い話なら僕は、何も語らない・・・。
それが少しでも楽になる方法だと理解したから・・・。
アテム:相棒はそうかも知れないが俺はいつも速攻で行うタイプでよ・・
誤魔化す為の良いわけにしか過ぎないと感じるだろう・・・。
今の俺を知れば、おそらくは友情の関係など崩れるにちがいない。
「遊戯:君にはそれしか取りえないもんね・・・」
心の中での二人の会話、ただ遊戯は気付いていた・・・。
それでも黙っているしかなかった。照れ隠ししながらも素直になれないアテムに・・・。
それでも俺は、私は・・・エジプトの地に足を踏み入れる・・・。
その結末の果てに選択する未来を決める為に・・・。
本当にこの時間が続けばいいと思っていたのも本性。
だけど来てしまったのだ・・・この時が、相棒や城之内君達と別れる時が・・・。
とはあれから会話すら行っていない・・・。
返事を聞けば、辛くなる。知らなければその方がよいのだから・・・。
それでもは俺を見つめている・・・。
俺の存在を意識しながらも何もなかったような表情をする・・・。
それが何処か辛くて・・・。寂しそうで・・・。
相棒や城之内君達がいる時以外、俺は表には現れなかった。
みんなにこの感情を知られたくないからだ・・・。
イシズ:ようこそエジプトの地へ
イシズの言葉に我に返る・・・。
そう、ここはエジプト。アテムの本来帰るべき地・・・。
あれから途方にくれながらも泣き続けた・・・。
だけど別れるのが怖くて来てしまった。こんなにも愛していた・・・。
この感情に気付いた時、どうすることも不可能だった。
自分の理性を思考回路からはずれることなどできない・・・。
アテムの決意は変わらない・・・。
その手を差し伸べてくれるのであればどんなに喜ぶだろうか・・・。
本当にこれが最終の結末になってしまうのだろうか?
少しずつではありながら船は動く、目的の場所は明朝には着く・・・。
船は波音たてず、静かにナイル川を流れていく・・・。
けれど、時間が止まってしまう程の願いはほんの一瞬で砕かれる。
明朝、時間と共に、目的の場所に船は到着をする。
決闘が今始まる。遊戯とアテム、最終決闘が幕を静かに開ける・・・。
結末はすぐに訪れた・・。永遠に続くかと思われた結末・・・。
今、俺と相棒はその場にいる。
場に召喚されている沈黙の魔術師のみ、もう俺の場には・・・。
死者蘇生の魔法カードで蘇らせた天空の神、オシリスの天空竜。
けど、僕はそれを読んでいた封印の黄金櫃を開く、ただ死者蘇生の魔法カードを無効にする為に・・・。
俺との境界線。もうこれが相棒との最後・・・。
忘れない永遠に君と過ごした時間を・・・。
遊戯:サイレント・マジシャン、プレイヤーへの攻撃。
相棒がいうままに、沈黙の魔術師は、攻撃を放つ・・・。
サイレント・バーニングを、俺のライフは削られる・・・。
相棒は俺を越えたんだ・・・。どんな結果だろうが・・・。
冥界の扉が俺の名と共に開かれる・・・。
皆が別れを惜しむ中、は俺に何も告げようとしなかった。
それが良いのかも知れない本当に・・・。
俺達は永遠に仲間なのだから・・・。
いつか再び相棒達に合おう・・・それが願いなのだから・・・。
私はもう我慢が限界だった。
その扉を一直線に目掛け走り始めた・・・。
城之内:・・・何で・・・
みんなが私を止めようとするだけどもう時間がない・・・。
本当に笑顔を作れたと思う・・・心の底で私は本当に大切なものを見つけてしまったのだから・・・
:ごめんね・・・
冥界の扉が閉まり始める・・・。
ただその光の中に一直線に走り出し姿を追い求めたアテムを・・・。
遊戯:これでいいんだよ・・は・・・だってそれが選んだ未来だから・・・
僕は納得いかなかったこのような結末に・・・。
だけど仕方なかったんだ・・・これから先の物語で何が起ころうと・・・
:アテム・・・
俺は、不意に後ろを向いた。居るはずのない人物。
戸惑いと驚きが表情に表れる・・・。
アテム:どうして・・・
私は、アテムを抱きしめた・・・。
どんなことが合っても逃げたりしない・・・私は貴方の者・・・。
:やっと見つけた・・・。貴方をずっと好きだったから・・・。
その答えがの答え・・。
だから俺はの後悔のない気持ちをしった時安心をした。
そしていつか誓った。と俺で相棒達と再会することに・・・。
そして歳月がながれた・・・。
今、とアテムは遊戯達の元に居る・・・。
今となってはあの時の真実が幻であり、これが現状・・・。
答えがこうなることを理解して・・・。
突然の別れと突然の再会・・・。
永遠に続く果てなき物語。
再会と別れ・・・貴方はどちらを望みますか・・・?
それとも仲間と友情・・・時を越えた未来・・・。
|
Music Box/遠来未来-Enrai_Mirai- 逆凪 諒様 by:鎖状思考-サジョウシコウ- |