遊戯王デュエルモンスターズ --ずっと一緒にいようね--




隣で歩く彼女に嬉しさを隠しきれない。ポーカーフェイスを装うのに必死になる。

不意に彼女がオレを見上げる。

気がつかない振りをした。目が合えば顔が緩みそうだから。



ずっと一緒にいようね S Version



付き合い始めたのは数ヶ月前。

断られたら無理やり奪おうと思い

彼女に想いを打ち明けた。以外にも彼女も自分のことを思っていた。

両想いだった…嬉しさがこみ上げて衝動的に抱きしめた。

彼女は身を硬くしながらもおずおずと

その小さくて細い手を背中に回した。


彼女はころころと表情が変わる。その表情は見ていて飽きない。

寧ろずっと見ていたいとさえ思う。

オレといるときにだけ見せる

幸せそうな笑顔を誰にも見せたくないと思った。

俺の前だけで見せる

穏やかな瞳を守りたいと思った。


独占欲だ。


先ほどからは幸せそうに自分を見上げている。

その視線に耐えかねてオレは口を開く。


「先ほどから何をしまりのない顔をしている」


オレがそう言えば


「あ…気がついた?」


当たり前だ。穴の開くほど見られては誰でも気がつく。

オレの場合はそれもあるが

いつでも の気配を探っているからだ。もっと近く感じたくて…


「そんな顔でじっと見られてはな…何かあったのか?」


そんな想いを悟られたくなくて

そっけない答えを返す。それを気にした風でもなく


「なんでもないよ…ただ…」


そう言って言葉を濁す。


「ただ?」

「しあわせだなぁって」


そう答えた は極上の笑みで笑っていた。

オレも思わず笑い返せば彼女の頬が紅に染まった。


「どうした?顔が紅いが…」

「な、なんでもないよ!」


そう言って両手を頬に当てオレに背中を向ける。

その仕草の一つ一つが愛おしくてたまらないのだ。オレも自分の本心をポツリとこぼす。


「幸せ…というなら俺も幸せだ…」


は驚いたように振り向いてこちらを見た。

きっとオレの頬は少し紅いのだろう

だから少しでも隠せるように口元に手を置いた。


「お前と会ってからこの世界の見方が変わった…こんな道…お前と会わなければ歩くこともなかっただろう」


オレがそう言えば はあいている手をそっと取った。


「私もだよ…この道も…瀬人と歩くから違って見える…他の景色も…瀬人と一緒ならきれいな景色はもっと綺麗に見えるよ…」


オレは を凝視した。は恥ずかしそうに俯いていて表情は見えない。

だからそっと名前を呼んでやる。


「 」


くいっと軽く手を引けば はオレの胸に持たれかかる形になる。

自分の胸の中に堕ちた小さな存在を抱きしめてやる。


「  …愛してる…早くオレの元へ来い」

「瀬人…私はもう瀬人のところにいるよ?」


は今現在の状況を言っているのだろうが

オレは未来の話をしている。

オレ達のロードの先…がオレを見上げるからオレは の目を見つめた。

はそらさずにオレを見ている。

彼女の目の中には今オレしかいない

それに優越感を覚えた。体を少し離してお互いに見つめあう。


「オレの…妻になれということだ」


オレはいつものように笑いながら自信を持って言った。

彼女が断るはずはないから。


「私は…私は…」


少し戸惑いながら は言った。


「いやか…?」


そう聞いてみれば は


「いやじゃないの…ただ…うれしくて…緊張して…うまく…しゃべれないの…」

「  …」


その言葉に愛おしさを感じて

をもう一度抱きしめた。はオレの耳元でそっと囁いた。


「私も…瀬人のこと愛してる…だから…私を…貴方のお嫁さんにして…」


甘い、最高に甘い愛の言葉。


それに笑みをこぼして答えてやる。


「ああ、もちろんだ。世界で一番綺麗な花嫁に、世界で一番幸せな花嫁にしてやる。」


ドラマで言いそうな台詞を、本心で言うことになるとは思っていなかった。

が背中を強くつかみ、嗚咽をこらえるのが分かる。オレは彼女を掻き抱いた。


絶対に離すものか


「ずっと一緒にいようね…」


少しだけ涙に震えた声で言われて

体を離し、お互いの額を合わせて誓う。


「ああ、約束だ」


それは永遠の誓い。甘く切ない言葉で、オレたちは愛を誓う。

幸せな時間がまた増えた。

                           〜 END 〜


○著者からのコメント

後書き〜♪後書き〜♪後書き〜♪

ずっと一緒にいようねの瀬人さんバージョン。

海馬さん視点で書いた話ですよ。先に主人公サイドを読んでいただくと分かりやすいかと…
 
甘いいちゃラブを書いたつもりで海馬さんがうっかりぽんと偽者に…

何でこんなになるんだろう…連載にもこの甘さを4分の一くらいほしいな…

だって連載あんまり甘くならないんだYO!連載の主人公とは別で、学校の帰り道設定。

とにかく甘いですが砂吐かないでください…ってもう遅いですか?すいません(笑)

By:竜堂 様&竜堂 恋花様

どんな時でもお前を離しはしない…

社長ぉ〜あきらかに男前・・いやへたれ・・・どっち!?
私から考えれば何っすけどね!えぇ〜な考え・・・。

いやはや・・・こんな瀬人様も有りなのではないでしょうかね!
一般車道を歩く社長ってちょっと見てみたかったりもして・・・

あきらかに萌えな語り方をしてしまいましたよ!
本当に素敵な作品です。これからも頑張って下さいね!

By:七瀬 ネイ