本当の瀬人と私、のアテムとの因縁はここで幕を閉じる事になる。
ただお互い、アテムの存在がなければここまで必要とされる事はなかったのだから・・。
ただ暗闇の中、車の照明で微かに見えるだけの瀬人の表情。
それがどんなに嬉しいことで待ちわびた事なのだろうか?今の私には貴方しか見えない・・。
どんな事があろうとも、だけど私の意識は披露もあっての事だろうか・・?
本当の温もりを感じて意識は目眩と共に消えていった。
ただは俺の中で気絶をしている。雨の中で俺に抱かれながらも・・。
こんなにも痩せ補けたを見るのは数年ぶりだった。
ただは両親の言いなりだった。剛三郎との関係もあり俺達は出会った。
それが今、こんなにも互いを必要としている。
なのには、会社の利益の為だけに利用されている。
もうには利用される程の事はない。俺はお前を一生話さない。
抱き上げれば、本当に軽かった。まるで子供を抱きかかえるように・・。
ただそのまま海馬邸の中へと入っていく・・モクバと共に・・。
光の中へ完結する物語 〜LOVE&HISTORY〜 〜 海馬 瀬人 〜
目映い朝の日差しが部屋に響き渡っていた。
意識がもうろうとしていた。気が付けば今までの両親から虐待をされていた傷は手当てされていた。
誰がやったのだろうか?何も分からずにいる・・。
気が付けば夜に瀬人との再会を果たした事。ただそこで意識は失われていた。
その後は何も思い出せない。何故こんな状況になっているのだろう・・。
まだ体がだるい中、私は再び深い眠りへと着いてしまった。
俺は、をもう両親の元へは帰らせない事を心に刻んだ。
ただ親子との縁を絶ちきって貰ったとしか言いようがない・・。
確かにの両親は大企業を運営する社長だ・・。
俺は幼い頃から知っていたが、との関係だけは崩れる事がなかった。
だが、次第にの両親はを利用するしかなかった。
今は道具としてでしか扱っていない・・。
瀬人:・・
まだ眠りについているに俺は安住を浮かばせる。
昨晩の再会の時からの異変は築いていた。それなのに何も出来ずにいる俺が悔しかった。
ふと築けばは眼を覚まし始めた。
ただ俺は眠り姫が眼を覚ます瞬間をただ静かに見つめている・・。
:ふにゃぁ〜瀬人?
瀬人:随分眠っていたようだな・・。
相変わらずの可愛らしい目覚め声だ。
俺がの側にずっと居たなど気が付いていない気配。
:私どうして・・
不意を付かれてしまった。眠っていた事に確かな自覚はあった。
だけど寝顔を瀬人に築かれてしまった。急な覚醒をされたのは直ぐだった。
眠気が未だに遅う中、微かな唇の感触。
それが瀬人との口づけで少し照れている。朝から妙に鼓動が高鳴る。
瀬人:安心しろ今日からお前もここに住めばいい・・。
当然、を両親の元になど帰らせるつもりはない。
俺の自信は何処からわいてくるのだろう?
不意を付けばは笑っている。
口元に手を押さえながら、やはりまだ両親から与えられた傷が痛々しい。
:そんなの父様達が認めると思ってる?
の顔は暗かった。まだ披露があるのだろうか・・はいつも凡骨共に心配をかけさせまいと考えている・・。
俺にとってはそれが不安でたまらないんだがな・・
そんなものにとっては無縁に等しいのだろう。
凡骨共といる時の彼奴は何処か楽しげで、俺にはその優しさが伝わってくる。
瀬人:ククク、もう家に帰らなくても良いんだぞ?肉親との円を断ち切ってやったのだからな・・
簡単な事だ。の両親は元々会社利益の為に、娘すら利用していた。
俺は、ただとの肉親との円を断ち切る気配を向こう側は持っていた・・。
ただ今は娘とは思っていないようだ。
はそれでも家族思いがあるのだろうな・・。
:嘘。だってそんな事できなよ・・
俺は、力ずくでもしてやったのさ、の傷を癒すためにも・・。もうお前に背負わされた宿命など解き放してやる・・。
アテムがいない今をお前は俺と共に生きろ!それがお前の未来なのだからな・・。
:貴方ならやると思った。
本当に瀬人ならやりかねないと思った。
昨晩の事は記憶で微かに覚えている。瀬人は私の傷を医師にでも診察して貰ったのだろう。
ただ夜も遅くて、点滴の管が通っていた事も記憶には微かしかない。
それに同じ所を何度も傷つけられれば、痛みも伴わなくなる。それを自分で体感していた。
ただ瀬人が電話でのやり取りを行っていた事は直ぐにでも理解出来た。
私の両親はもう本当に私を必要とはしていない。それはあの家でも理解済みだった。だから瀬人には感謝している。
瀬人:当然だろう、俺が守ると言った以上はな・・
俺は、ただ何もないように語る・・。
少しでもの気が楽になればそれでいいと思うように・・。
:なら守って貰おうかな?本当に貴方の側で・・
は少し起きあがると笑っていた・・。
やはり右肩の傷が痛々しい、つい最近傷つけられ、包帯を再び巻かれている。
あまりにも鮮明は表情は安住をしている。
本当に、これでよかったのだと俺は思った・・ただ心の中で・・。
今の彼奴はまるで女神の様だ。誰の女神でもない、俺だけの女神・・。
そして今日だけが神秘的に感じられた。
瀬人、有り難う。でも本当に嬉しかった。
貴方に会えて恋いをして、今もその気持ちは変わらない・・。
アテムの言った最後の言葉思い出してしまった。
そうその言葉が結果的にこれだったのだろう・・・。
戦いの儀が成立した時、アテムは自らの名を冥界の扉に告げた。
その時、これが最後なのだろうと思った。逃げたくなかった。
:アテム・・
私はただ不意に言葉を告げてしまう。
3000年前の貴方を思いだしてしまったから、私が庇って死んだのはセトの為。
だけどアテムの気持ちは、兄の気持ちは幸せになって貰いたかったのだろう。
それが今となっては分かる。あの時のセトの涙は私を守りきれなかった涙なんだろう。
確かに私の愛は、王妃や父の願いで一度は引き離された。
アテムの妻となり、アテムを支えるようにとの願い。それがある為・・。
だからそこで断ち切ってしまった。
:ねぇ?セト約束して?どんな事があっても私とのこの想いをなくさないで・・。
セト:あぁ〜約束する。どんな結末だろうがな・・
だけどそれが本当に良かった事なんだろうか。
本当に、あの時の事を今は悲惨に思えて仕方がない。
アテム:・・
アテムはただ振り向いた。そっと何かを思っているように・・。
言えずにいた口が気持ちを軽くする・・。そしてうまく告げられる・・。
:思い出したよ?だから昔の呼び名で別れたいよ・・
アテム:、海馬と幸せになれよ・・。
「」それが本当の私。
:約束するよ・・。
光の中へ消えていくアテム。私はその光が未来だと思った。
3000年もの間続いた本当の私の結末に・・。そしてもう一度告げられた言葉・・。
アテム:、お前は幸せになれ俺の陰を追わずな・・。
そのとき私は、不意にアテムに会えた様な気がした。
今もアテムは私の心の中にいる。永遠に何時か巡り会える気がして・・。
瀬人:?
いつの間にかの頬からは汚れを知らない雫が流れている。
それが誰に向けられているか直ぐに理解してしまう。
:やっと本当に分かった気がする・・。
俺はが消えてしまう気がして抱きしめた。
もう何処にでも話す気はないように・・。
瀬人:、もう何処へも離さない。
その痛々しい傷、まだ真新しい・・。
俺は何も出来ずにいた自分に後悔をする・・。
俺との光は今から始まりを告げるのだから・・。
消えゆく者・・永遠に刻まれる者・・。
その境に手に入れたのは僅かな願いに等しいもの・・。
トライアングルの三角関係・・。
全ては悲劇ではなく永久のように幕を終える・・。
アテムの願い通り、3000年前に結ばれなかった2人の魂が一つとなるのだから・・。
そう瀬人と、互いに一緒に生きていく事に・・。
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Music Box/遠来未来-Enrai_Mirai- 逆凪 諒様 by:Sky Beholder |