遊戯王デュエルモンスターズ --ハッピーディリーズ--





お母さん。結婚生活とは


想像していた以上に


幸せなものでした




ハッピーディリーズ




すべらかに、心地よく肌をすべるシルクのシーツに身を包み

毎晩毎晩快適な部屋で快眠を約束された私は、
この環境が心地よすぎてここに来てからと言うもの
朝にめっぽう弱くなってしまった。

朝。と言うか…起きる瞬間。

あのふわっと夢から戻ってきて一番
布団の中が気持ち良い瞬間の時。

そんな時にシルクの肌触りが心地よすぎて・・・
また夢の中に引き戻される事も恥ずかしい話少なくはない。

それに。何が1番心地よいかといえば
空調が聞いた部屋でも寝心地が良いベットでもなくて
この部屋が彼――もう私の旦那さんである彼――の
海馬君の部屋だというのが1番安心できて心地よいのだ。

まぁ海馬君の部屋・・・と言うのはもう的確ではなくて
今では私と海馬君の、二人の部屋なのだけれど・・・

とにかく。ここには沢山彼の物が
詰まっているような気がしてとても安心できた。

「ふっ・・・ぅ・・・」

この部屋で寝ていると暖かな何か・・・
彼の愛とか優しさをいっぱい感じられる気がして・・・

今日もまた、そんな夢と現実との
意識がゆらゆらしているハザマで心地よい物を感じ
うとうとしている。

少しでも気を抜いたら
5秒もしないうちに夢に落ちられそうだ。


しかし、眩しい――とまでは行かないけれど
閉じた瞳の向こうに光を感じて薄く目を開ける。

視界はまだ開いたばかりと言う事でぼんやりと
膜が貼った感じだったがすぐになれた。

はっきりした目で見えた光。

それは私が考えていた朝の日差しとかではなくて
ベットの上においてあったランプの明かりだった。

遠慮がちに1つだけ付けられた明かり。
柔らかな光のそれは、ベット周辺をうす明るく照らしていた。

「・・・んっ・・・」

でもまだ時計を見ると夜中に入る時間で
その明かりだけではとても広い部屋自体を照らせない。

この天秤付のベットだけでも精一杯だ。

「海馬・・・くん・・・?」

完全に意識を取り戻し、隣で寝たはずの人物がいないことに気がつく。
まぁ、彼が起きたらいないのはいつもの事なのだが・・・

(本当は毎朝行ってらっしゃいのキスとかしてたけど
 あまりの睡眠時間の無さや朝の早さに2日でダウン;
 ・・・でも聞いた話、ちゃっかり寝てる私に海馬君は絶対キスしてくらしい・・・)

今日は明かりがついている。と言うことは
海馬君はまだこの部屋に居るのだろう。多分。海馬君も起き立てかも知れない・・・

そう思い、下げられていた天秤を少しめくり
暗く、視界がきかない部屋に降り立つ。

「・・・?」

窓から月の光が入り込み、少しは明るいものの
何も見えない。どうしようかと。

暗いのが苦手な私が
そう考えていると、パチッと音がして次いで眩しいくらい明るい電気が付けられた。

どうやら今のは電気をつけるスイッチの音だったらしい・・・
完全に見えるようになった視界には電気のスイッチに手をかけた海馬君が映った。

「どうした  ?起こしたか?」

そういいながら近づいてくる海馬君はもういつもの仕事服に着替えていた。
相変わらず早い事・・・まだ月が出てるのに仕事に行くのだこの人は。

「ううん、違うよ。目が覚めちゃったの」

スッと側に来た海馬君に頭を撫でられながら
そう答える。髪をすくその手が心地よくて彼にそっと抱きついた。

「そうか・・・」

片手で優しく頭をなで、もう片手で抱きしめられながらお互いにギュっと密着する。
感じあう体温が暖かくて、気持ちよくて・・・ずっとこうしていたかった。
でも、海馬君がスーツ姿なのを思い出してフッと我に返る。

「・・・ねぇ海馬く・・・んっ・・・」

仕事の時間。何時からなの?もういくの?
そう聞こうとした私の声は海馬君のキスによって奪われてしまった。

「んっ・・・いきなり・・・な・・・に?」

急な彼の行動に驚きつつ聞くと彼はもう一度軽く私にキスをして

「もう『海馬君』ではないだろう  ?」

と真剣な表情で言った。

「あっ・・・そっか・・・ごめん」

「  も『海馬』なのだぞ?いい加減慣れろ」

「わっ!分かってるよぉ」

でも――分かっていてもまだ慣れることは出来ない…
『海馬』それは私の1番好きな人で1番大切な人の苗字。

その苗字に自分がなるなんて・・・嬉しいけど気恥ずかしい。
でももう慣れなきゃって事は自分でも分かってる。

私はもう。海馬  なのだから・・・
海馬君の事だって『海馬君』じゃおかしいんだよね

「瀬・・・」

だけど・・・

「せ?」

「せ・・・って!うわーん恥ずかしい!!」

「何故そこで恥ずかしがるのか分からんな・・・」

キャーキャー!と一人で騒ぎ、挙句ベットに
顔をふせてしまった私(顔が赤かったのが恥ずかしかったから
そんな私の後ろから、ため息混じりにそんな声が聞こえた。

「  ・・・」

低く。甘く耳に残る声で呼びながら
海馬君は後ろから私を抱きしめた。

「・・・お前は可愛いな・・・」

「・・・ん」

上を向かされてまたキスをされた。
でも今度は位置を変えて何度も何度も深くキスされる。

「ぁ・・・はっ・・・」

「いつまで立っても初々しくて・・・ホラ。今も真っ赤だぞ?」

くくく。と笑いながら顔を見られてさっと横を向く。

しかし、そんな行動は読まれていたらしく
私が向こうとした先には既に海馬君の手があり頬を捕らえられてしまった。

「・・・海馬君・・・意地悪・・・」

「・・・海馬君ではないと言ったはずだ」

瞬時。しまったと思った。
海馬君の目は完全に獲物を射程内に捕えた獣のような目になっていて・・・

「う・・・んっ・・・やっ!ヤダ!!ヤダヤダ!」

と言う叫びも虚しく
(それが逆に男を誘ってるのに  は気づいていない)
パジャマのボタンを慣れた手つきで外されていく。

「んもう・・・海馬君だって仕事あるんで・・・んゃ・・・!」

「仕事よりも大事なようが出来たのでな」

「ばっ!馬鹿言ってないで・・・ぇ!!」

「馬鹿な事ではあるまい?俺はただ に名前で呼んで欲しいだけだ」

「それとこれと何の関係があるんですかー!」

最後の抵抗でグイグイと彼の肩を押すが
彼もソコの所は負けてはいない。

あっという間に手を払われて
1つにまとめられてしまう。

「あっ・・・」

「  が俺の名を呼べんのは
 恥ずかしいからなのだろう?それはつまり、まだ慣れていないせいだ」

「う・・・ん・・・そうだけど・・・」

「人が何かに慣れるには。どうしたらいいと思うか?」

至極楽しそうな顔でニヤリと笑いながら
そう聞いてくる海馬君に疑問符がとんだ。

人が・・・物事になれるには・・・どうしたらいいか?

「分からぬようだな。では教えてやろう」

いっそう楽しそうに笑った海馬君に
背中に冷たいものが走った。まっ・・・まさか;

「人が何かに慣れる為には練習あるのみ。
 まさに『慣れ』る為に何度も俺の名を呼べばいいのだ」

(やっ・・・やっぱり!!)

ひーんと泣きたい勢いだった。
そしてその言葉が恥ずかしくて私の顔は再度熱を帯びる。


そう・・・彼は知っていたのだ。
私が・・・つまり・・・そういう事をしている時だけ
無意識的に海馬君のことを『瀬人』と呼んでいる事を――

「やっ・・・」

「何度でも。俺の名を呼べ  」

「んっ・・・んん・・・」

もう、こうなってしまってはどうしようもなかった。

海馬君がマジになって
逃げられたためしはないのだから・・・

「・・・瀬人・・・の馬鹿ァ・・・もっ・・・しらない・・・」

諦めにも取れる言葉を聴いてか
海馬君はニィっと勝ち誇ったように笑うと
キッチリと閉めていたネクタイを少し緩めた。


結局。その後たっぷり海馬君に愛されて 目が覚めたのはお昼ぐらい。 相変わらず私は心地よいシーツに包まれて 快適に空調が聞いた部屋でうとうとと甘い余韻に浸っていた。 「あーなんか幸せだなー」 ふふっとひとりでに笑みがこぼれる。 もう海馬君は仕事に行ってしまったけれどまだ暖かさが残っている。 「ホント。幸せだよ私」 誰にでもなくそういって天上に左手を掲げた。 その薬指に光るリングにキスをして また一人でにでてくる笑いを抑える。 お母さん。結婚って良いもんだね。 なんだか暖かくて・・・ ちょっとまだ気恥ずかしいけど・・・とにかく幸せ。 大好きな人とずっと一緒だなんて・・・ 大好きな人とおんなじ苗字だなんて・・・ 少し考えただけでも笑顔になっちゃうよ。 お母さん。私、海馬 になって とっても幸せです。 なんだか今が幸せすぎて 気持ちが抑えきれなくて。 頭の中で今の幸せをお母さんに報告した。 その言葉に 『それが結婚ってことよ』 と微笑みながら返された気がして さらに幸せ気分になった私は もうじっとしていられなくて―― まだ少し暖かい布団に未練はあったけど飛び起きた。 そして着替えて、外にでた。 仕事で頑張っている・・・愛しい私の旦那様。 ・・・海馬・・・とと。瀬人に美味しい夕飯でも作ってあげようと 思ったからだ。 料理はそんなに(ここのコックより)上手くはないけれど この今にも溢れそうなほどの愛情をたっぷり入れるからちゃんと食べてよね? 私は海馬君の奥さんなんだから 奥さんは奥さんなりに頑張るよ。 愛しい愛しい人の為に。       あぁ。こんな幸せな日々が   これからずっと続くと思うと   本当に嬉しいよ。   こんな幸せな日々を私にくれて・・・   ありがとう。瀬人                                   〜 Fin 〜


Music Box/遠来未来-Enrai_Mirai- by:Departure

キリ番7600を踏まれました
七瀬ネイ様に捧げますvv

スイマセン;ほんっとにスイマセンでした!!
何年またせんだよ!って感じですね・・・;

休止していた為に本当に遅れてしまいまして
誠に申し訳ありませんでしたm(_ _;)m

ハッピーウェディングの続き物と言うことですが
ドウゾお受け取りくださいませ。

By:静谷 ゆかり様

いぇいぇ、大変素晴らしい小説を有難う御座いました。
そんなに長らく待った記憶私的にはなかったんですけど・・・ν

ともかく、素晴らしい小説作品をどうも有難う御座いました。
真面目に瀬人と甘い日常生活でしたね。

ともかくヒロインが可愛かったので素敵です。
これからも良い作品が出来る事を祈っています。

嵐翠狐白 管理狐 七瀬 ネイ