遊戯王デュエルモンスターズ --光の中へ完結する物語--




追いかけていた。ずっともう1人の僕を・・・。
だけど、僕は君を追い続ける事で僕自身を保っていたのかも知れない。

そんな僕ともう1人の僕。ただ決別しはじめていた。
あの時の決闘は、僕ともう1人の僕の定め、いずれくる運命だったのかも知れないように・・・。

今、僕ともう1人の僕はその場にいる。
場に召喚されているのは沈黙の魔術師のみ、もう1人の僕の場には・・・。

死者蘇生の魔法カードで蘇らせた天空の神、オシリスの天空竜。
けど、僕はそれをよんでいた封印の黄金櫃を開く、ただ死者蘇生の魔法カードを無効にする為に・・・。

もう1人の僕との境界線。もうこれが君との最後・・・。
忘れない永遠に君と過ごした時間帯を・・・。

遊戯:サイレント・マジシャン、プレイヤーへの攻撃。

僕がいうままに、沈黙の魔術師は、攻撃を放つ・・・。
サイレント・バーニングを、もう1人の僕のライフは削られる・・・。

ただ虚しさと共に、僕はもう1人の僕に勝つことができた。
けれど、まだ僕の物語は始まったばかりだ。

あの日以来、僕たちは今まで通りの生活を送っていた・・。
ただ1人、アテム、いやもう1人の僕が消え、その存在を失ってから僕らの前に現れなくなった。

をのぞいては・・ただいつもと変わらないはずなのに・・・。
いつもの明るい声が響かなくなっているのは気のせいではなかった。



光の中へ完結する物語 〜 武藤 遊戯 〜



僕は、のことは余り知らない。海馬君は偶にだが会社経営で再会する事を聞いていた。
けれど、童実野高校へは来ないことに不安と苛立ちを感じていた。

もう1人の僕が居た頃には感じなかったこの感情にどうする事もできずにいる。
ただ、僕が黙り始めてから表情をあまり出さなくなった。心配されて当然のような感情・・・。

城之内:、いつまで休む気だよ。俺達が彼奴とアテムの関係を知らないとでも思ったのか?

そうもう1人の僕とは仲がとても良かった。
ただ兄妹のような感覚でもあり、友人のようで恋人未満といった様子。

それが日常の中であらわになっていた。ただ一般的な思考だった。
気付くのが遅かった。杏子はアテムの存在を心に刻み、今は何一つ変わらないというのに・・・。

瀬人:っふ、凡骨風情が知れた口ではないな・・・

城之内君と海馬君の仲は、いつも通り犬猿。最低の喧嘩が続いている。
それでも僕らの明るさは保っていた。だけど、本当に辛いのは友情の輪である1人が欠けている事。

杏子:遊戯?今日の所行かない?

遊戯:そうしたいけど、今日じいちゃんの手伝いしないといけないし・・・

やっぱり不安だ。海馬君は全てを知ってるようにのことは話さない。
それにもあの日以来、僕達と連絡をしあっていない。


ちょうどその頃、エジプトから日本へ、数日安定した生活が続いていたある日。
僕の家に、夜中頃電話があった。僕はもう1人の僕を失って少し途方に暮れていた時の電話。

遊戯:はい、どちら様で?

最初は無言だった。けれどもその後、小さな声でこう聞こえた。
「遊戯」と呼びかける声が聞こえる。ただその時には女の子の声としか認識しなかった。
目がさめ始めた頃、覚醒した用にそれがであることに自覚をする。

遊戯:どうしたの?こんな時間に・・・

:ごめん。私もう高校いけないかも・・・。

遊戯:どういうこと・・・。

:ごめん・・・なにも話せない・・・。

何度も詫びを言われ、その後電話は切られ連絡は途絶えた。
同様に、城之内君達にも同じ電話の用件が何回も来たのである。

確かに海馬君のように、も忙しい身である。
海馬コーポレーションと同様の大企業、コンツェルの副社長をしているからだ。

それでも学校へは毎日のように来ていた・・・。
そんなが来なくなるのは不可思議であった。それでも事情は知らない。


城之内君との張り合いにも飽き始めていたのか、海馬君がこちらに近づいて来たのだった。
深いため息を付くなり、僕の前に近づき語り始める・・・。

瀬人:何も聞いていないのか?遊戯・・・。

遊戯:海馬君は聞いてるの?

海馬君は頷くなり何も語ろうとはしなかった。
だけれども、それが不安で僕は海馬君に語るように試みた。

遊戯:海馬君、お願い教えて・・・

杏子からも城之内君からも皆が同じように訪ね始める。
それでも海馬君は語ろうともしない・・・どういうことか・・・。


その日、私は、瀬人が珍しく家に来たので招待をした。
こんな状態で遇うのは、少し戸惑ったがそれでも瀬人にだけは真実を話してしまった以上仕方なかった。

私は、アテムがいた頃、多少の無理も薬で耐えてきた。
けれど、アテムには見透かされて、遊戯が居ない間は私に心配をするようになった。

今は父や弟がコンツェルの支えている・・・。
早い所学校へも復帰をしたかった。けれども思うように体が動かない。

無理もなかった産まれつき体が病弱で時々、心臓の発作を起こす程だった。
けれど高校に入学をしてからそんなものは無縁だった。ただ日常的にふつうに行えていたからだ。それなのに何故?

扉を開く音が部屋一面に響き渡る。
肩から通る細い点滴の管が薬を体に通している。時々は息も苦しくなっていた。

それでも私は生きている・・・。
アテムがいないのに、何故、何故か助けを求めているのは瀬人でもアテムでもなく遊戯だった。

そんな事を脳裏で考えている・・・。馬鹿だ・・・完璧。

瀬人:眠っていないでいいのか・・・

そんな心配な声が聞こえる。幼い頃はこの家に遊びにきたのにも関わらず・・・。
今のような態度はアテムを思い出していた。本当の私は何処にいるのだろう?

:平気、気が楽なの・・・

何言ってるの?今はこんなに苦しいのに・・・。
アテムがいないただそれだけで・・・。

瀬人:今日、遊戯達に聞かれた・・・いつまで隠す気だ?俺はこれ以上幼馴染みだろうが容赦はないぞ・・・

:遇いたくないんだ・・・ごめん・・・。もういいかな今日は・・・

瀬人:明日、遊戯達をつれてくる・・・決着を付けるんだなけじめとして・・・

瀬人の優しさは十分承諾してるはずだけど・・・。
だけどこの気持ちは何、遊戯の言葉を聞くと会いたくなってなってしまうから・・・。

まるでアテムとは違う感情・・・。
まるで今のこの姿を見られたくないような感覚。

そっか、初めてだったこの感情を、瀬人は、気付かせてくれた。
私は遊戯のことを・・・だけどもう・・・。

あまり無理をすれば命に関わる・・・。
だけど私の生きてる意味、それはおそらく遊戯の為、そして仲間の為・・。

けど遊戯に対しては愛しき気持ち、だから決着は貴方と・・・。


いきなりの海馬君の電話に僕は戸惑った。
あれから偶に、海馬君とは城之内君達とつきあい始めていた。

偶に新発売予定の新しいゲームのテスターになってくれとモクバ君にも言われることはあった。
今回もまたそんな感じなのだろうか?そうなら今は断りたい。

だって、今だけは仲間のだけを考えたい。
この感情はもう1人の僕といた時の感情じゃない・・・。

そんな気持ちが芽生えたのは分からなかった。
それでも本当に冷静に考えれば分かってしまうことだった。

遊戯:海馬君?

瀬人:遊戯、明日の放課後、に会わせてやる・・・。

そういうと電話は切られてしまった。
「」の言葉を聞いた瞬間に僕は戸惑った。

それは、が僕たちに会わない理由があるから・・・。
そして海馬君にしか伝えていない事情があるから、それに首を突っ込んでよいのだろうか?


その日の放課後は、直ぐに訪れてしまった。
ただそのことを城之内君達にも話したら、皆で遇うことを約束した。

海馬君は勝手にしろと言われたけど、僕達にとってはそれが応えなんだ。
仲間としての応え。けれど、僕は気付いてしまった。

に対する本当の気持ち。
ただ知らなければ幸せだった。けれどどんなことでももうから逃げないと約束を誓う。

例えどんな結末が待っていたとしても・・・。


の部屋に訪れた時、本当に何も知らずにいたんだ。
城之内君も、杏子も真実をしった後、海馬君と共に部屋から引いてしまった。

残されたのは、と僕だけ・・・。

遊戯:アテムにそんな事を告げてたんだ・・・。

:知らないはずだよ・・・だってアテムは・・・。

僕は、拳に力が入っていた。
寝床に横たわっている、はあまりにも弱々しくて・・・。

いつもの存在には感じられずにいた。
僕の感情はしだいに苛立ち、の側で歪んでいた口が開く・・・。

遊戯:僕が、の事を思わなかったと思ってる?

:そんな事ない・・・だって・・・

遊戯:僕はがアテムを好きだったと思ってた・・・そうだろ・・・

:違う!私が好きなのは遊戯だもん・・・アテムは関係ない・・・。

は、本当に今は苦しんでるはずだよ・・・。なのに、僕にまっすぐな気持ちを伝えてくる。
決闘者が決闘をしてるような時の感情ににた感覚。

そして今、僕は本当の感情に揺らいだ・・・。
ただ不意にを寝かせる行動、その思考が何を悟ってるのかも分からず・・・。

遊戯:僕は・・・君を・・・

:いいよ、何も思ってなくても・・でもごめんね・・・迷惑だよね・・・

遊戯:迷惑なんかじゃない!僕だってが好きだから・・・。もう1人の僕なんて関係ない!

ただ初めて分かった感情・・・。
僕は、もう1人の僕、いやアテムに嫉妬を抱いていたのかも知れない。

今度こそを僕の者にしよう・・・。
どんなに離れていても見つけだす。だって今、僕にとって大切な光はだけだから・・・。
もそれは同じはず、だっては僕にその答えを見つめてる・・・。

遊戯:、好きだ!・・・

:私もだよ遊戯、好きだよ・・・

それは初めての口づけ、互いの感情が理解しあった証・・・。ただ海馬君はこうなることを理解していたのかも知れない。
どんなことがあってもを引き離さない感情1・・・。

今、もう1人の僕がいないことで、もその答えを見つけたよ・・・。そして僕も・・・。
も僕も、今光りを手に入れたんだ・・・互いの惹かれる光を・・・。



Music Box/G2−MIDI 真河 涼 by:古の巫女
設定上は、アニメ編のラストをご使用。
まぁ?原作版をご使用したも同然なんですけどね?

背景イラストと曲はこの小説に合ったのをご使用。
アテムと遊戯の別れ、その先に待つ恋いの未来?なんてのも良いですよね!

けどこれ微妙に瀬人?壊れてるかも?
仲間など必要ない!の一点張りだったんですが・・・遊戯達の仲間視点にしてしまいました。(許してぇ〜)

やっぱり、アテムの印象強いですよね!本当に・・・
遊戯の未来は如何なるものでしょか?恋愛ものとして想像させて頂きました。

しかも、瀬人と、幼なじみ設定!(剛三郎時代からの・・・)
いいのかねぇ〜こんな感覚な小説で・・・ま!書いてて面白かったのでよしとするか・・・

もう一度お楽しみして下さる事も有り難いです。本当に・・・

七瀬 ネイ