夏の出来事


夏の出来事

「えど〜えど〜」

夏の暑い日ざしの中、一人の少女の声が響きわたる。

「えど〜、まだ、メンテ終わってないんだよ〜。・・・もう!どこにいるの!?」

少女が声をあらげ、家の一番奥にある、部屋のドアを開けると・・・

「ぐぅ〜〜〜」

探し人がリンリンと風鈴が鳴っている中気持ちよさそうに眠りこけていた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

少年、エドワードを探していた、少女、ウィンリィは脱力してしまった。
まさか、メンテの時間だというのに、こんな場所で眠りこけているとは思わなかったからだ。
思わずへなへなと、その場に座りこんでしまった。

「お昼はメンテの時間だって、あれほど言ってるのに・・・」

ウィンリィはエドワードの近くまで行き、顔の近くに座り込んだ。

「まぁ・・・いろいろあったしね・・・。」

ウィンリィは、エドワードの、太陽の光に反射してキラキラと光っている金の髪を掬うようにかき上げた。
そして、手を離すとさらさと音をたててくずれ落ちる髪。
もう一度同じ動作をする。

「あ。」

暑い中いくらふわりふわりと風が吹いているとはいえ、
こんな日差しが直に当たる場所で寝ていただろうか。
エドワードの額にはうっすらと汗が滲み出ていた。

「もう、しょうがないなぁ・・・。」

ウィンリィは、呆れるように、だけど嬉しそうに微笑むと台所へと行ってしまった。
それから、どのくらい経っただろうか。
先程まで寝ていたエドワードが目を覚ました。

「ん・・・」

目を擦りうっすらと出ている汗を手で拭いだ。

「俺、いつのまに寝て・・・?」

そう呟き天井を見るとそこには・・・

「あ、やっと起きたね、エド」

そこには、思い人のウィンリィがいた。

「なんでお前がいるんだよ・・・。」

「いたらダメなの?」

「そんなことはないけど・・・」

いつものエドならば、ここで喧嘩になる言葉一つでも言うのだが今日は言わなかった。・・・
いや、言えなかったの間違いだろう。
なぜならば、ウィンリィの右手にはスパナ3本が握られていたからだ。

「エドが暑そうだったからせっかく人が団扇で扇いであげてたのになぁ〜。

 そんなこと言えるんだぁ〜へぇ〜」

「な、なんだよ」

「今日のエドの晩御飯は、牛乳!」

「え!?」

ウィンリィのその言葉にエドは絶句する。
なぜって?それは、エドは死ぬほど牛乳が嫌いだからさ☆

「お鍋一杯のご飯に牛乳たくさんかけて食べるの!デザートはお砂糖山盛り入れたホット牛乳!」

恐ろしいことを言い出した。

「そんなこと言うエドの晩御飯は牛乳で十分!」

ぷいっとそっぽを向いてしまった。どうやら、相当お怒りのご様子だ。

「そ・・・それだけは止めてくれ!」

「どうしよっかなぁ〜」

ウィンリィはそのエドの慌てように隠れてクスクスと笑っていた。

「勘弁!ホント、マジ勘弁!ウィンリィ〜」

「あはははは♪」

ついに、ウィンリィは瞳に涙を浮かべて笑い出した。

「なっ、何笑ってるんだよ!」

「だって、エドすごく必死で、顔が真っ青なんだもん。見てたら可笑しくなってきて・・・」

そして、また、ウィンリィは笑い出した。
ずっと、笑っているウィンリィに腹がたってきたのだろう。
少年はその所為でとんでもないことを言ってしまった。

「うるさい!このっ・・・・・機械オタク!」

言ってしまった・・・・言ってはいけないワードを言ってしまった!
刹那ウィンリィの周りからは、どす黒いオーラで満ちていた。

「機械オタクですってぇぇぇぇぇ!?」

その言葉が、引き金になったのだろう。
エドワードは、スパナ100乱舞を喰らった上に
その夜のエドワードの晩御飯は「牛乳尽くし」だったという・・・・・。


その後、エドはというと・・・・・


「いや・・・牛乳だけは勘弁して下さい・・・マジに」

「うっさい!このチビ!エドの夕飯なんて牛乳だけで十分なのよ!分かったら、さっさと飲め!」

有無を言わさぬウィンリィにもはや勝てないと判断したエドは、
近くでエドとウィンリィの様子を傍観していた。アルに助けを求めた、が、

「ズルイよ、兄さん!」

・・・などという意味不明な返事が返ってきた。

「は?」

思わずエドも、そんな返事が返ってくるとは予想だにしていなかったから、まぬけな声を出してしまった。

「な、何がズルイんだよ、アル」

「何がって、ウィンリィに膝枕をして貰ってたじゃないか!」

「なっ!見てたのかよ!!」

まさか、あの場面を見られてたとは思ってもみなかったのでエドは顔を真っ赤に染めて怒鳴った。

「“見てたのかよ!”じゃないよ、兄さん!僕だって、

 まだウィンリィに膝枕してもらったことないのに・・・・・!ヒドイや、兄さん!」

そして、一呼吸おくとアルは、とんでもないことを言った。

「兄さんのエロガッパ!兄さん何て、大っ嫌いだぁぁぁぁぁ!」

そう、大声で叫ぶとう「わぁぁぁぁん!」と泣きながらどこかへ走り去ってしまった。

・・・・・・・いや、鎧だから泣けないが・・・・・

「アルフォンスーーーーーーーーーー!」

そして、ひとり残された少年は深い悲しみ暮れるのであった・・・

「じゃなくて!」

危うく、話が終わりそうになったのをウィンリィさんが止めてくれました☆ヤッタネ☆

「上手く話しを変えて逃げ出そうたってそうはいかないわよ!」

「はーなーせぇぇぇぇ!」

そう、叫び、幼馴染の魔の手から逃げ出そうと試みたが予想外に自分の肩を持つ
ウィンリィの握力が強くて、逃げ出すのは失敗に終わった。

「お前、そんなに握力あったか!?」

「女の子は、いつでも進化していくものなのよ!エド!」

嘘付け!

と、思ったエドだったが、言ったら殺されること必至なので、口には出さなかった。
そんなことを考えている内に何時の間にかエドの口にはメ○ミルクが突っ込まれていた。

「んぐぅぅぅぅぅ!」

危険を察知したのかエドは必死に抵抗したがそれは失敗に終わった

「逃げようたってそうはいかないのよ、エド!さぁ、お腹一杯に飲みなさい!」

ウィンリィは半ば半狂乱になりながらさらに牛乳をエドの口内に流し込んだ。

「うごぉ・・・もごうのめがい!」

訳:「無理・・・もう飲めない!」

「うっさい!」

その晩はエドの泣き声がロックベル家に響き渡ったという・・・・・




Music Box/VAGRANCY by:フェアリー



えぇっと・・・きっとふたりが付き合ったら主導権は、リィが握りそうだなーとか思ったり思わなかったり・・・ By:夢雨

夢雨様、お約束通り背景入りの曲入りで展示させて頂きました。

鋼の館、期間限定フリー小説より頂きました。

エドワードとウィンリーの突っ込みですね!(完璧・・)
エドワードって実際、牛乳嫌いなんだよねぇ〜(実は・・私もあまり飲めなかったタイプだったりして・・)