何時まで逃げても彼はしつこい程に追い続ける。そんな彼から私自身、逃げるのにも疲れてきてしまう。
この時になっても彼はまだ私以外に興味はないのかと後々、後悔をする程だった。
何時までたっても君は私からは逃げ続ける。そんな彼女が可愛らしいのだが・・・。
それでも未だに逃げ続ける彼女にも腹が立つのは仕方がない事だった。
彼女とのそうとの出会いもまた奇遇といって良い程の出来事に過ぎなかった。
全ては此処から始まった。そう自身も呆れるしかない程の・・・。
ロイ:捕まえたぞ・・!ぜぇはぁ〜
息を切らしながら走る理由も彼女に認めて貰うため・・。
殆ど、が逃げてしまえば私自身が捕まえる事は楽勝といえるだろう。
ただ、一つ・・彼女が錬金術を使わなければだ・・。
は、何故か捕まる旅に顔が苦笑いをしている。其処までして逃げているのだ。
:あぁ〜もぉ〜また捕まったぁ〜。
その後ろを、皆が注意する。それは日常の中で何時もの事であった。
そして静まり返ると皆は、何もなかったように仕事に戻りだしたのだった。
恋愛成就
:気持ち悪い・・。うぇ〜
の背中をさするのも既に何時もの定番になってしまったのだが・・。
昔は最も、は大人し過ぎたのだが、何故か私が此処に居てからは全てが変わっていった。
ロイ:当たり前だ・・、今の身体で無茶をするな・・。
ロイは溜め息を吐くしか出来ずにいる。
自身を姫抱っこするのも毎度の定番になりかけているのだが・・・。
此処は東部の王家の一族が住まう王宮内だ。
其処にいるのは、最近になり父の後を継いで玉座となったロイが国を導いていた。
此処最近は何もなく、暮らしていたし、元々ロイは女たらしで皆が知っていた。
そんなロイも彼女一筋になるのにそう時間はかからなかった・・・。
彼女との出会いは政治的な事で中央に来ていた時だった。
中央を治める王家の跡取り娘として育てられた彼女は、ロイを見るなり余り顔を合わせようとしなかった。
それは二人して意地を張っていただけであって、素直になるのにも時間がかかった。
なのに、二人は気持ちを正直にさせる事が出来ずにいたのだった。
その頃は互いに逃げ続けてばかりいて、その二人の仲を知ったのか・・。
そう、両親共に許婚にしてしまったのだった。最初は互いが認められなかった。
けれども、結局は全てを受け入れてしまったのが二人だった。
そして婚姻にまで至るのは良かったのだが・・。
ロイ:全く、何故もっと大事にしないんだ・・。
室内に入れば、ロイは何時も安堵の溜め息を漏らす。
彼女を寝床に安静にさせると、椅子に座り彼女を見続ける。
:何よ・・・私の勝手・・まだ駄目、吐きそう・・。
そういって彼女は寝床から洗面所に向かい、顔色が悪いのを我慢している。
ロイは溜め息を吐き続けるばかりであって、椅子から立ち上がるとの側に近寄る。
ロイ:たく、無理するな・・悪阻が酷いようなら逃げる事もないだろ・・。
何時も逃げるのはロイは政治的な仕事を終え、一安心した頃だった。
の部屋は相変わらず、ロイが来ると居ない方が多いのだ。その度に追いかける習慣が出来てしまった。
あの頃も同じだった。中央で逃げていた時、ロイは本当に彼女を好きでいた。
それでも、女としては余り認めたくなくて、ただ好敵手のようにも見えた。
そんな彼女と今は夫婦というのも幻のようなものだった。
:過保護なロイに言われたくないわよ・・まだ駄目・・気持ち悪い・・。
ロイ:はぁ〜おい・・誰でも良い・・医師を呼んで来てくれたまえ・・。
ロイは近くにいた女人達に指示を出して、を見つめる。
未だにまだ顔色が良くないのか、その場から離れようとはしなかった。
ヒューズ:お前ら・・いい加減熱々なのはやめてくれよ・・。
その言葉にとロイは同時に威圧感を漂わせるが、ヒューズにはそれは無意味であった。
それ以上にはまだ気持ち悪いのか、その場に座り込む・・。
ロイ:だから・・言ったのに・・。
そういって姫抱っこするのだが、彼女を最近は真面目に話して抱いてはいない。
最近はの身体に負担を背負わせるのがきつかったのだ・・・。
:もういやぁ〜やっぱ駄目、我慢出来ません・・。
顔色が悪いは、最近は弱音を吐くばかり・・。
東部の政治も安定し始めた時に、中央の姫君がこの国に来るのだ。皆が喜ぶのも仕方がなかった。
ロイ:お前、それでも女か・・・・。
ヒューズは未だに笑いを堪えているのか、二人を見つめている。
女たらしのロイが、まともに一人の女を選んだのだから仕方がないのだが・・。
:何よ・・勝手に種植え付けたあんたに言われたくないわね・・。
そんな会話をしながらもは腹部に触れているのだが・・。
そうが妊娠が発覚したのも、婚儀を行う前の事だった。その為、互いに王家は焦った訳だが・・。
そんな二人の会話に実際仲が良いのか分からない程だった。
ロイとヒューズは幼馴染であったが、が来てからは余りにもからかう回数が増えていた。
「あれ程、無茶をさせるなと言ったではないですか!?これで何度目ですか・・。」
医師はそう言いながらもを見るのだが、余りにも回数が多いと呆れてきているようだった。
そして何よりはまだ、悪阻が酷いのか医師の診察にも余り言葉を会話していなかった。
ヒューズ:お前、まさか恋愛成就するとは思わなかったけどな・・。
今の現状のロイを見つめながら、ヒューズは過去を思い出していた。
ヒューズにとってロイの恋愛は全てにおいて無になってしまうだろうと思ったらしい。
ロイ:馬鹿らしい・・なんだ・・子供じみた事を・・。
ヒューズのからかい言葉にはもう既になれてしまったのか、ロイは仁王立ちをしていた。
そしてはというと、医者に診察されて未だに医師の瞳が鋭かった。
ヒューズ:ロイ、忘れたとは言わせないぞ・・
:お前が15歳の時、中央の城下町であった少女に・・。
あの時の事を思い出したのか、ヒューズは思い出を脳裏に連想させた。
あの時、ロイは東部から中央に父親と共に訪れていたのだが、偶々ロイは中央の城下町を訪れたのだった。
その時、何も知らないロイと中央を知る少女との奇遇的な出会いをしてしまったのだった。
ヒューズが何を言い出したかったのか思い出して、は二人を見つめて言葉を交わした。
:ごめん・・それ私だわ多分・・。
辛い顔をしながらロイを見つめながらは会話をした。
ヒューズは何故か、驚きを隠せないのかその場で何かを思い出そうとしていた。
ヒューズ:確かに似て・・はぁ〜んじゃ何か、ロイお前、まさか・・。
ヒューズは幼い頃の少女の顔を思い出し、確かに似ていると思ったのだった。
そしてロイはヒューズの驚きぶりに・・・・。
ロイ:今更気づいたのかヒューズ・・。
ロイは未だに呆れ返っている。
あの過去は、ロイにとってもにとっても不幸としか思えないのだった。
:ごめん、私、駄目、偉すぎ・・。後、頼むわロイ・・。
そう言うと彼女の手に管として繋がれている点滴が痛々しかった。
彼女はまだ辛いのか、既に言葉を交わすことを断念しているのだった。
ヒューズ:おい・・ロイ、どう言う事だよ・・。
ロイ:俺も最初はまさかだとは思わなかったよ・・
:あんな生意気な少女に喧嘩するなんて思わなかったからな・・。
ロイは極力簡単に感想を述べて、ヒューズを見つめるのだけれども・・・。
は何故か、ロイの言葉に敏感に反応をしてしまったのか、ロイを見つめながら・・。
:生意気で悪かったわね//
ヒューズ:偶然ってのもありなんだな・・。
何故か、ヒューズは感想を述べることしか出来ずにいたのだった。
その事は実際に偶然ではないのだが・・・。
ロイ:偶然ってより、とはその後・・。
:じれったいわね・・私が17歳、ロイが21歳の時に知っちゃったわけ・・。
:私は覚えてたけど・・小生意気なのに喧嘩したから・・。
そう彼女と会う度に互いに喧嘩をする程の仲なのだ。
そして何より、はロイを毛嫌いしているより、呆れた男としか思っていなかったのだ。
ロイ:、それはあんまりだろ・・。
:何よ・・って、駄目、悪阻酷いからごめん・・。
そう言うとはまたそっぽを向いてしまったのだった。
そしてロイは、の顔に手で触れる。そしてロイに顔を向き合わせる。
ロイ:なら、逃げなければ良いのに・・。
その場で軽く唇に触れる。は照れだしたのか・・・。
その場で、顔を蹲る。そしてまた何故か辛そうな顔をするのだった。
:ロイ・・何する・・。
その光景を見つめる人物が他にもいるので、は何も出来なかったのだった。
その夜、はロイの側で今日は大多数を過ごすはめになるのだった。
〜 NEXT HISTORY 〜
:ねぇ〜お願いだから・・ヒューズ、これ以上黙らせてよ・・。
その日の夜、半場強引にロイの部屋で過ごす事になったなのだが・・。
ロイはに腹部にばかり優しく触れているだけであって、は未だに機嫌を損ねていた。
ロイ:そう言われてもだな・・・・。
ロイはヒューズの事を半場諦めているのか、の機嫌を取り戻そうとしていた。
そしては何故かまだ、ロイに言いたいことがあるのか・・・。
:だからぁ〜何でロイよりヒューズが子供の事で喜ぶわけよ・・。
それは長年、ロイに彼女が出来るのを待ち望んでいたからだと・・。
ロイはに言えるはずもなく、苦笑いをするしか方法はなかった。
ロイ:いや・・彼奴は形振り構わない親馬鹿だから・・。
そんな誤魔化しをしていくものの・・・。
:はぁ〜お願いだから過去のこと、からかわないでよ・・疲れるから・・
そうとうに過去の事は告げて貰いたくないのか、は恥ずかしがっている。
ロイは多少、笑うしかなかったのだが・・・。
その数ヵ月後、ロイととの間に女の子の双子が生まれるのだが・・。
その時、はヒューズの会話に馬鹿馬鹿しく思えて仕方がなかったのであった。
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Music Box/VAGRANCY by:西風の贈り物 |