何も変わらないのに・・・この世界は何も代価なしに得る事は出来ないのに・・・。
私は、何を犠牲にして来たのだろう・・・生きている代価は何なのだろう。
真理の存在を知っていたのは彼らだけだったのに・・・。
本当に持って行かれたのは私の心・・・。私は何を代価に払ったのだろうか・・・。
・ラーナス何て名は主にに過ぎるだけ・・・。大切な弟を失ったのだから・・・。
今日も青空は綺麗だ・・・この空で私は生きているから・・・。
アルフォンス:・・・。
呼ばれる声がした。その側にはイズミさんがいる・・・。
そっかエドワードは、アルフォンス・・・貴方の兄は全てをやり遂げたのね。
私は偽りの笑いしか見せられない。あれから私は軍の狗である事に途方をくれていたのだから・・・。
そんな中での私の印象・・・大総統の関係・・・そして賢者の石・・・。本来なら知らない方が幸せな出来事。
その結果が・・・私は大切な人を巻き込んでしまったのかしら・・・。
本当の意味で私が巻き込ませたに過ぎないのに、私もその存在を求めていたから・・・。
その時のエドワードの顔が今も、左目を通して伝わってくる。
あの微笑みは私に向けてだったのかしら・・・それとも他に誰が居るのだろう。
エドワード:早く行け・・・お前も・・・。
あの時に何を思ったのだろう・・・。あれから私は軍への復帰をしていない。
皆に心配をかけているだけ・・・。そしてもう・・・この身体では・・・。
旅路の果てに・・ 〜Roy Mustang〜
ロイ:が・・・。
私は、余りにも多くの犠牲をしてきた・・・そして今も咎を背負っている。
失った親友に詫びる事も出来ない。あの時からヒューズ、お前は私との関係をからかっていたな・・・。
リザ:先日から中央にも東方の軍司令部にも訪れて居ないようです。
:残りの軍司令部にも同様の返答が・・・。
彼女は、大総統の失踪から即座に軍を一つに纏め上げた優れた人物だった。
それは私が一番良く知っている。准将と言う堅苦しい地位で在りながら真実に屈していなかった。
ロイ:・・・・それで、彼女は今、何処に・・・。
今の私を、恐らく彼女は受け入れてくれないだろう・・・。
黒翼と呼ばれた彼女だけの事はあるのだから・・・軍を纏め終えて今の彼女は何処に・・・。
リザ:大佐、以前・・・に何を約束したのですか・・・。
約束、そんな思い出もあったと私は思った。
私自身が彼女を強引に手に入れようとした約束だったか・・・そんな事、もう忘れた。
ロイ:っふ・・・覚えていないよ・・・。
中尉の溜め息混じりが私の耳元に聞こえる。
この世界は不完全だ・・・だから美しいのに・・・私はそう思っている。
ロイ:中尉・・・今、彼女は何処に・・・。
リザ:彼女と呼ばず・・・もうと呼んだらどうですか・・・大佐・・・。
君の瞳に移るのは、私への哀れみなのか、それともへの・・・。
君も同じ様な言葉を一度、私に告げているね・・・。
リザ:知っているはずです・・・大佐なら・・・。
冷静に考えれば、私でも分かるはずだ・・・。
それでも私は彼女を避けているのだろうか・・・今の心は惨めなはずなのに・・・。
ロイ:リゼンブールっか・・・鋼のの故郷・・・。
考えなくともその答えは直ぐにでも分かる気がした。
君がもし、私に付いていてくれるのであれば、恐らくはそうだろうと・・・
リザ:大佐・・・迎えに行くなら・・・もう後戻りは・・・。
中尉は、何もかも話してくれた軍の資料は全て私が復帰したら見せるようにと・・・。
そしてもう自分が限界だから・・・軍の指揮は全て私に任せると・・・。
お前は、馬鹿なのか・・・私に隠しても何れはばれるという事を・・・。
私自身が、休養をする訳はない・・・君が居なければ・・・。
イズミ:身体の方は大丈夫なのか・・・。
貴方に飲み物を渡した時、その言葉に少し戸惑いを感じた。
そっか知ってたのか・・・あの時から私の無茶を・・・。
:気づいて要らしたのですね。でも何時から・・・。
正直に答えるしかなかった。だってそれが偽りない真実だから・・・。
それ以上に、貴方には偽りは通じないから・・・。
イズミ:私を馬鹿にするな・・・お前の事なら分かるが・・・。
照れているのかしら・・・それとも何か違うのかしら・・・。
私は考え続ける。まだ答えを探し求めているから・・・。
:この事・・・あの人には言わないで下さい・・・余り無理させたくないから・・・。
そう責めてロイにだけは、この事実を知って貰いたくなかった。
軍から一時途方に暮れた理由もロイには分からないと思うから・・・・。
イシュヴァール殲滅戦でロイには一度知られてる。だけど、今もう一度知られる訳には・・・。
限られた時間は後僅かしかないのに・・・どうしてまた、私は逃げているのかな・・・。
イズミ:少しは相手の気持ちを察した方がお前の為だぞ・・・。
何時も貴方は優しいのですね・・・。私が軍の狗になる事を止めなかった貴方が・・・。
でも何故、今になって優しいのでしょうね・・・全て変わったからなのかしら・・・。
:それも、そうですね・・・。
エドワードと別れてから、あれから錬金術は使っていない。
理由は全て身体だったから・・・。持病あるのに何で無茶をしてしまったのだろう。
でもあの時、決断を下さなかったら今の私は居ないから・・・。
瞳を閉じても考えてしまうのに・・・。どうしてあのような答えしか出ないのだろう。
イズミ:お前が馬鹿なんだ・・・。
私は貴方を姉の用に頼ってた。頼りすぎただけかも知れないのに・・・。
それでも貴方は私の側にいてくれるのですね・・・。
もう、身体に無理をさせる事は出来ないのに・・・また何時、発作が起きるか分からない状態なのに・・・。
外は寒いのだろうな・・・ガウンを羽織りながら私は少し黄昏てた・・・。
汽車の待ち時間も乗っている時間も、その時の私には長く感じられた・・・。
私は何故、また此処を訪れたのだろうな・・・。本当の意味で私は多くの者を失った・・・。
当然、鋼の・・・彼も、私は多くの咎を背負っているというのに・・・。
眼帯を付けた瞳が、昔の友に詫びを求めている。
ウィンリー:あの・・・。
彼女に私は何も出来はしないのだから・・・彼女の全てを私は失わせたのだから・・・。
私の今の姿を見て、彼女は本当に何を思うのだろうか・・・。
ロイ:迎えに来たのかね・・・。
私の顔が素直に見れないのならそれでもよいと私は思った。
今の私に、償いは出来ないのだから・・・上を目指す、それが約束だったものを・・・。
ウィンリー:リザさんから連絡を受けて・・・。こっち・・・アルが其処にいると思うから・・・。
私は素直に受け入れられるのだろうか・・・君を・・・。
それ以前に、私は多くの犠牲を自らの償いでは出来ない程にしてしまったのだから・・・。
:やっぱり来てしまったんだ・・・。
偽りの笑顔、私は君にその笑顔を向けて欲しくはなかった。
そうそれは全て、私の意志だ・・・身体を強く抱きしめても弱々しい彼女がいる・・・。
扉の側でそっと誰かが見つめているにも関わらず・・・。
それでも君は、私を見つめようとはしないのだね・・・何故なのだろうか・・・。
:帰って、貴方には・・・。
多くの咎を背負った私を、貴方は必要としてくれている・・・。
それは、違う・・・全ては私が全ての咎を背負っただけ・・・ただそれだけ・・・。
ロイ:何故、私に黙ってる・・・何故、私に全てを隠そうとする・・・。
その眼差しを私はエドワードと似ていると数少なく思ってしまった。
だって、ロイの見せる顔は全て偽りではないから・・・守るべき者の為だけの・・・。
エドワード:早く行け・・・お前も・・・。
貴方の顔が、あの時の彼に見えた。どうしてだろう・・・。
私も禁忌を一度犯した身、その証は今も残ってる。貴方は真理をどの様に思っているのだろうか・・・。
:貴方は何を代価にするの・・・。
どうしてだろう・・・何故、そのような言葉が思い浮かんでしまったのだろう・・・。
私の考えをエドワードは、あの子は悟ってしまったのだろうか・・・。
エドワード:っふ・・・お前にはまだやるべき事があるだろう・・・。
その顔が、忘れられなくて、私は何時でも貴方の為に準備をしてきた。
そうそれは今も、でも今になって何故・・・。
:分かってるなら・・・私を・・・
貴方の唇と私の唇が交差される。自然と涙が溢れてきた・・・。
どうして、何故、貴方は私を交差させるの、貴方とのこの気持ちは何なのだろう・・・。
ロイ:私が君を置いていくとでも思ったのかね・・・。
馬鹿なのは、私だった。こんなにも貴方を苦しめてしまった。
それなのに、貴方は何故、私を必要とするのだろうか・・・どうして・・・。
:良いの・・・こんな身体でも・・・。
イシュヴァール殲滅戦の後、私の身体は弱まりだした。
元々、器官とかが強くなかった。それでも親の反対を押し切って軍の狗になった。だってその答えは・・・。
ロイ:私に全てを隠し通せると思ったか・・・。
貴方もまた同じ事を言うのね・・・。そうエドワードが私に答えを導かせてくれたように・・・。
貴方もまた同じ言葉を私に告げるのね・・・私には、まだやるべき事があると・・・。
:またイシュヴァールの時のようには・・・もうなれないのよ・・・。
私はもう代価を支払ってしまった。そして今の貴方を私は受け入れても本当の心の意味では受け入れられない。
でも私は残忍な人だと思ってしまった。そうでなければ、後悔が残ってしまうから・・・。
ロイ:一緒に、私と未来を導かないか・・・私は君を愛しているから・・・。
その言葉を私には告げないで、もう私は昔の様にはなれないから・・・。
無理に明るく振舞う事も出来ないだろうと私は思ってるから・・・。
貴方に何時もの姿を表にだせないから・・・だから忘れてほしいのに・・・。
貴方はどうして私の心を探ろうとするの・・・それでも何故、貴方は私を必要とするの・・・。
ロイ:何時まで・・・何時まで逃げてるつもりだ・・・。
その言葉は私には残忍な言葉・・・何度語られても、私には罪に聞こえる言葉だから・・・。
それなのに、何故まだ私を必要とするの・・・貴方に・・・全てを託したのに・・・。
:逃げてなどないわよ・・・。
貴方の顔を見つめると私は辛いから、心から貴方に離れたいのに・・・。
だけどこの思いは何なのだろう・・・貴方にそれを告げて欲しいと思った心は・・・。
ロイ:ならば何故、君は泣いている・・・。
その優しい顔は如何して私を見つめるの・・・私が貴方の前から姿を消したのに・・・。
涙をぬぐっても君はまだ泣き続けるのだろうね・・・だから私は側にいる。君が泣き止むまで・・・。
ロイ:私は君が必要だから・・・君を側に居させたいから・・・。
もう君にだけは全てを伝えよう何があっても・・・。
だから君を・・・もう話はしないから・・・。
:は・・・い・・・。
私の中に流れる涙は、もう永遠に枯れる事はないだろう・・・。
貴方を慈しむ心を覚えてしまったから・・・・。
そのキスは悲しみではなくて喜び・・・人は何かの犠牲なしに何も得る事は出来ない。
でもそれは代価・・・だけど、私はここにいる・・・大切な人と・・・。
もう咎の傷は忘れなければ、何も意味がないから・・・。
〜 Fin 〜
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Music Box/Amor Kana By:遠い旅人 |