望みはしない。望んでもいなかった・・・それでもこの世界に降り積もる雪は綺麗だから・・・。
私を包み込む彼はとても優しく・・・けれど、運命に飲み込まれてしまっていたのだから・・・。
白梟:花白・・・お話がありますとても大切な・・・。
その言葉に花白は微かにそう敏感な程に白梟の言葉に震えていた。
私ですら花白の様子が分かった程なのだから・・・それでも私は花白には何もして差し上げられない。
無力なのは私自身であり、それ以上の理由すら存在しないのもまた事実なのだから・・・。
花白:・・・後、頼むよ・・・。
その言葉に私は花白の顔を見つめ、微かに頷きそして窓を見つめた。
花白はその場で、私の顔を微かに見つめ安心したのか白梟の元へと向かったのであった。
白梟:いつまであれを・・・野放しにするつもりなのですか・・・。
白梟の声は私の耳元にまで響き渡る程であった・・・何故、こうして世界が救われる為に花白は選択しなければならない。
その言葉の意味を私は今まで考えていた・・・玄冬がいるから世界は嘆くのだよ・・・。
:そんなこと関係ないのにね・・・悪いのはこの世界を作り上げた主・・・貴方なのですから・・・。
私は花白の感情がいまだに分からなかった。玄冬を殺したくない・・・失いたくない。
それは誰もが持ち合わせている感情であるのだから・・・簡単な事なのだが・・・。
そう誰かを失うのは、そして誰かを殺めることは自分が恐ろしいことなのだと理解しているのだから・・・。
研究者:ならば・・・そなたは何故この世界にいる。
不意に主が告げられた言葉が、鮮明に蘇って来たのだった。
その言葉は愚問であり、この世界にはまだ役割を持つ鳥がいる・・・互いに世界を創生したのであれば見守る義務があるのだから・・・。
白銀の導きそして契り
:私はこの世界を・・・貴方が見守りを捨てた世界をいつまでも見続けましょう。
雪が降り続ける窓を見つめながらは不意に小声でそう呟いた。
背後に主と呼ばれる人物がいることすら知らずに・・・それでもは微かに溜め息を漏らした。
:いるのでしょう・・・私を迎えに・・・そうでしょう?
その切なげな瞳は永遠に雪を見続けていた・・主を見つめずに、ただこの世界の在り方を・・・。
なら私は双方の鳥を見守る以外できない・・・それ以外に選択の答えはないのだから・・・。
研究者:もうこの世界はまもなく白に包まれる・・・。
私は立ち上がり、室内に置いてある楽器を取り出した・・・春を告げる鳥は涙の雫を数え続けているのだから・・・。
それでも私の役目は見守ること意外何も存在しえはしない・・・だから・・・・。
黒鷹:玄冬が存在し続けるから・・・。
不意に現れた鳥に、私はただ沈黙をしその鳥を見つめ続けていた。
玄冬がいるから・・・・この世界の人々は誰もが玄冬を攻め続けているだけに過ぎない。
それ以外の言葉など無力だと実感しているからなのかも知れない。
黒鷹:やれやれ・・・やはり神子姫を連れ戻しに来ましたか・・・。
溜め息を吐きながら黒鷹は私を見つめ、主を見つめ再度溜め息を漏らしてしまった。
そうして己ですら任務を放棄しているに過ぎないと実感しているのであるから・・・。
黒鷹:今更彼女になんのようですか・・・貴方は我々と共に彼女すら捨ててしまったのですよ・・・。
その言葉に私は全身を震わせていた・・・そして黒の鳥をそっと見つめていた。
黒の鳥は主に呆れ、自分が願い出たことをすっかり忘れさっていた。
研究者:世のそばに長きに渡りいたのはだ・・・それを何故私が拒む?拒んだのはの方であろう・・・。
その言葉に私は確実に沈黙をしてしまった・・・何も話せない主の前でだけは何も・・・。
その言葉に黒鷹は多少溜め息を吐き、主を見つめ呆れながらに告げた。
黒鷹:主よ・・・を彼女を連れていくのは構わないですが・・・白梟にはなんと伝えれば良いのですか・・・。
その言葉には主の感情が理解できた・・・愚問だという言葉だろう。
無論、黙って行く事は即座に理解出来たのだから・・・そういうまでもないことである・・・。
:もう・・・やめてよ・・・黒鷹・・・。
その言葉に黒鷹は僅かに苦笑をし、溜め息を吐いたのであった。
そして私の表情を見つめるなり、黒鷹は再度主である彼を見つめ呟いた。
黒鷹:再びまた・・・箱庭をお作りになるのですか?
私も彼が来ていることで正直に理解をした・・・何故、今更また私を手にするのだろうか。
けれど、主は愚問のようにこう告げた・・・私が創造する世界が素晴らしいから・・・だからだと理解をした。
:それでも私の心は虚空のまま・・・主、貴方には癒すことなどできはしない。
その言葉に微かに黒鷹は苦笑をしたが、それでも主はの言葉に無反応だった。
けれどにとって、生み出された世界は人々の手によってのみ素晴らしいものへと変わっていくのだ。
それでも、主にとってはこの世界が失敗作として終わりを迎えようと考える・・・。
何よりにとっては「失敗作」という一言が自分自身において苛立ちを感じていることなど十分理解していたのだから・・・。
黒鷹:行ってよいよ・・・・・・実際この世界の維持は我々がすることなのだから・・・。
呆れてしまったのか、黒鷹は意を決したようににそのように告げたのである。
は黒鷹の言葉に一瞬めまいを感じたが、正気を取り戻し黒鷹を睨み付けた。
:貴方が本気でそのような言葉を告げるなど思ってもみなかった。
の強気の言葉に黒鷹は溜め息を吐き、の表情を見つめ呆れていた。
そして黒鷹は主を見つめ、主に以前自分が告げた言葉を思い出すようにしていた。そして・・・。
黒鷹:実はだね・・・この世界を残してくれと願ったのは私なのだよ・・・。
は黒鷹の言葉に一瞬呆れていた。主がこの世界を残したのだと勘違いをしていたからである。
無論、は即座に理解をした・・・前の世界は主によって崩壊されていた事を・・・そしてこの世界が何故無事であったのかを・・・・。
:そっか・・・なら、私の思い違いだったのかな・・・
その言葉には正直、自分自身に呆れてしまっていたのであった。
主が何もこの世界の事、鳥達の事・・・そしての事を理解していないなど可笑しな話なのである。
:有り難う黒鷹・・・私行くわ・・・主が・・・彼が望んでるなら・・・。
その言葉に黒鷹は頷きその場で、主とが去って行くのを見守ったのであった。
無論、黒鷹はこの先をどうしたものかと多少は考えていたのであるが・・・。
白梟:何故・・・貴方が此処に・・・。
が去って数時間後に、白梟は花白と話を終えて自らの室内に戻ってしまったのであった。
そして黒鷹は苦笑しながら白梟の顔を見つめ、僅かに溜め息を吐きながら告げたのであった。
黒鷹:は・・・もうこの世界にはいないよ白梟・・・先程、主が迎えに来たのだから・・・。
その言葉に白梟は、主がお戻りになられたのだと心底思っていた。
けれど黒鷹は、白梟の内心を理解しているのかその先の言葉はいえなかった・・・。
けれど・・・時が経ち玄冬と花白が出会いその先にある運命が彼らを鳥達を主に導くなど知るのは先の話・・・。
〜 Bonus Histry 〜
:腐れ縁なのかしら・・・。
苦笑しながらは私達を見つめていた。無論、主は不機嫌になりながらも我々を見つめている。
私は溜め息を吐きながらその場で主とを見つめた・・・とても穏やかな感じであった。
黒鷹:仕方がないだろう・・・追い出されちゃったんだから・・・。
は微かに笑うのをやめその場で私と白梟を双方見つめていた。
そうしては微かに「お帰りなさい」っと我々に告げた。その言葉に微かに嬉しくなり「ただいま」と告げたのはあきらかだった。
研究者:やれやれ・・・また騒がしくなるのだな・・・。
は主の言葉に僅かに苦笑しながら主の向かった方面へと行ったのである。
が主につかまれば主は微笑ましくその場での手に自分の手を重ね微笑んでいた。
黒鷹:やれやれ・・・いつ契りを結んだのやら・・・。
溜め息を吐きながらも私は僅かに微笑んでいた。今ある現実に・・・。
私は僅かに隣にいる相手を苦笑しながら見つめた・・・その相手は僅かに口を開いた。
白梟:これでよかったのかも知れません・・・幸せとは難しいものですね・・・。
その言葉に私はいまだに理解していないことがあったのか溜め息を吐いていたのであった。
それでも私達が再びこの場にいる幸せは変わらないのだから・・・・。
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Music Box/VAGRANCY 志方あきこ by:箱庭の外で |