聖地の祈り









第一節  ココロの欠片

 静寂は静かに戻っていく・・。
 ただ何もなかったように、全てが全て記憶として残る。

 梅流達の旅が今始まる・・。
 町は暗く既に灯りもない・・それでも旅のしきたりに従い始まる。

 見守る者などありはしない・・。
 今より梅流達はただの旅人・・それしかない・・。

 全ての精霊に感謝の意をし・・。
 旅の祈りは町の噴水広場で始まる・・。

 市場も住み慣れた家も全てが幻となっていく・・。
 それでも梅流達はこの町を離れ記憶として刻む。

 もう後戻りなどできはしない・・。


 梅流の心でただ一つ・・何かが足りない・・。
 どんなに思ってもそれは築かない・・。

 蔵馬とのただ一つの自分の心・・。
 築くはずなどありはしない・・。

 梅流自身・・過去の記憶など存在しないのだから・・。
 だから思い出せるはずがない・・。

 自分という黄昏・・。
 孤独は自分自身にあるから・・。

 その心は何処に・・けれど存在はない。


 碧:あぁ〜いっちゃった・・本当に築くのかな・・

 茶色の瞳が梅流達の向かった方角を見つめている。
 
 「碧・・いずれ築くさ・・」

 碧の側に、金髪の少年。彼の名は、紅光〔クラピカ〕。

 碧:けど・・

 紅光:碧、俺達の存在を理解していての事か?

 碧:うぅ〜

 それでも碧は梅流に何かを告げたかった。
 存在自身を・・けれどいずれは消える存在・・。

 紅光もそうであるように・・。
 ただ紅光は築かないでいて欲しいという感情が強かった。

 それでも願わずにはいられない・・それでも・・。

 紅光:俺達は瑪瑠の残した心・・それだけ理解してればいい・・。

 碧と紅光・・その二人の堅い絆はしれていた・・。
 けれど願わずにはいられない・・。

 もう少しこのままの時間が続く事を・・。 
 

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