りん:ねぇ、邪見様、どうして殺生丸様はずっと様を連れて歩いてるのかな?
りんの何気ない疑問の言葉にただ邪見は溜め息を吐くしかなかったのであった。
そんな邪見の態度にりんは微かな疑問を感じたが、邪見は「お前は知らんでいい」と告げたのであった。
ただ邪見は内心ではただあれは殺生丸自身の気紛れでしかないことを十分に理解しているからである。
ただ邪見は溜め息を吐き微かに呆れ続けていたのであった。そうあの時の過去に・・・。
殺生丸:赤子の泣き声・・・。
その頃の殺生丸はただ父親の墓に納められし宝刀、鉄砕牙を探し求めていた。
それはただ必然の出会い。そして必然の始まりであった。
邪見もその赤子の泣き声にただ立ち止まり殺生丸の様子を伺ったのであった。
それから邪見を見向きもせずに殺生丸はただ赤子の泣き声の方向へと向かったのであった。
その場は血に染まり、母親が赤子を守るようにして倒れて居たのであった。
殺生丸はただその光景を呆然と見つめていたのであった。そして少しだけ語らった。
殺生丸:そなた死ぬのか・・・。
その言葉に我に返ったのか血に染まった母親は傷に障るにも関わらず起き上がった。
ただ一言、「お願い、この子を頼みます・・・。」と殺生丸に赤子を差し出してである。
その母親の戯れ言を聞き入ってしまったのか殺生丸はただその赤子を抱き上げたのであった。
そうそれが全ての始まりであった。ただその時の気紛れが未来につながることすら分からずに・・・。
守るべき者
殺生丸:半妖っか・・・この赤子・・・。
殺生丸は鼻が良いのか赤子の匂いからして即座に理解をしたのであった。
無論、妖怪であった母親は既に殺生丸の目の前で亡くなっている。
殺生丸にとっては腕の中にいる赤子などどうでもいい存在であった。
近場の村にきたら捨てる。それ程の存在であったのだ。
邪見:殺生丸様、その赤子どうなさるおつもりで?
邪見はただ殺生丸の腕の中で眠っている赤子をそっと見つめながら問いかけた。
殺生丸の腕の中で眠りについている赤子は、ただ安心しきったように眠っている。
殺生丸:あの犬の女妖怪・・・何処かで見た気が・・・。
月を見つめながらただ殺生丸は先程亡くなった赤子の母親のことを思い出そうとしていた。
それから殺生丸はただ微かに微笑み、腕の中で眠る赤子を一目見て歩き出したのであった。
りん:じゃ、様って殺生丸様が育てたも同然なの?
結局、りんの質問に答えてしまった邪見はただ「そうじゃ」と溜め息を吐きながら過去を答えていたのであった。
無論、と言う名を与えたのも殺生丸自身なのであるのだから・・・。
りん:邪見様、それで・・・。
りんにせがまれ、ただ邪見は続きを語る他ないとただ溜め息を吐いたのであった。
ただりんは続きを気にしながらも、微かに今殺生丸とがどうしているのかを気にかけながらもである。
邪見:殺生丸様・・・あれからもう十年ですぞ、をどうするおつもりで・・・。
邪見は殺生丸がが疲れたという態度をとるなり、即座に休憩をしていたのである。
無論、邪見は長年使えている殺生丸の考えなど理解できず、その場で溜め息を吐きながらを見つめたのであった。
半妖ということすらもう既に明白に他の妖怪に分かる程、は最近目立ってきていたのであるのだから仕方がない。
それでもを何処か安全な場所に住まわせるでもなく、殺生丸は自分の手元に置いていることすら分からずにいるのだから・・・。
邪見:はぁ〜なんという羨ましいことを・・・も・・・申し訳ありません。
殺生丸のふわふわな感触に触れながら、気持ちよさげに眠っているにただ邪見は溜め息を吐くしかなかったのであった。
ただ邪見の心配は年々増えていくばかりであったのだから・・・。
:・・・また歩くの?
は微かに身動きし、眠りから覚めたばかりの顔で殺生丸を覗き込んだのであった。
そんなをただ殺生丸は優しく髪を撫でながら頷いたのであった。
それから数年後は、ただ邪見、殺生丸、と三人で行動するのが当たり前になって来ていた。
そう犬夜叉が封印から目覚めたと知った時も、何よりもと殺生丸は何処へ行くのも一緒だという感情があったのだから・・・。
:ね、本当に行くの?
五十年前に御神木に封印された犬夜叉を既にはその時知っていた。
無論、溜め息を吐きながらも犬夜叉の封印がとかれたことには内心安堵していたのはいうまでもないことであったのだが・・・。
殺生丸:鉄砕牙を探す為なら手段は選ばぬ・・・。
そんな殺生丸の言葉にはただ溜め息を吐き、自分の犬耳に触れている殺生丸にただ呆れていたのであった。
はただ呆れながら殺生丸の表情を見つめているだけであった。そんな話の後、殺生丸、邪見はただ行動をした。
はただ殺生丸に参加することを止められ、ただ外野のように見守ることしかできないのであった。
ただ溜め息を吐きながらも、の目に映るのは殺生丸の顔ばかりであった。そう他を気にせずにである。
:ねぇ・・・私不安なんだよ・・・まだ精神的には幼すぎてもそれでも殺のこと好きだもん・・・。
はただ小声で、先程から見える犬夜叉と殺生丸の対立の場を不安な表情で見守るしかなかったのであった。
黒真珠を犬夜叉の右目から取り出すなり、殺生丸は微かについに見つけた喜びに溢れていた。
:ねぇ・・・もうやめてよ・・・。
は先程までの激闘にもう耐えられず茂みの中から殺生丸と犬夜叉の目の前に現れた。
無論、犬夜叉を守るように殺生丸の前に立つ、ただそんなに殺生丸は「なんのつもりだ・・・。」と告げた。
その言葉は今までと共にいた殺生丸の態度ではなく、まるで目の前の存在を敵として見ている眼差しだった。
かごめと犬夜叉はただそんなと殺生丸にただ唖然となっていた・・・。
犬夜叉:俺と・・・同じ・・・。
金の瞳はただの犬耳にばかり注目していた。ただの身なりが殺生丸と同じなのにかごめは疑問を感じた。
淡い水色の花模様のその着物は殺生丸が着ている花模様の紅い服とよく似ていたからである。
そしての右肩からはふさふさの毛皮が殺生丸と同じようにあった。
:ねぇ、もうやめてよ・・・殺、何で必要なのどうしてそこまで・・・。
ただは漆黒の瞳でずっと殺生丸を見つめ続けていた。
そんな殺生丸との関係にただ犬夜叉もかごめも驚いていた・・・。
殺生丸:・・・・・・。
その数秒の行動はを傷つけた。ただそのさいに殺生丸はただ優しい声でそっと謝罪をしていた。
そんな殺生丸の言葉にはただ微かに疑問を感じた。その時だった殺生丸の手はの腹部に大量の毒と傷を負わせたのであった。
の身体は殺生丸によって軽く支えられた。無論その光景を見入っていたのはその場にいた誰もだった。
邪見はただ唖然と主の行動に驚き、そして殺生丸の腕で支えられているをただ不安げに見つめた。
犬夜叉:殺生丸てめぇ〜関係ない奴を・・・。
犬夜叉は即座に立ち上がり、殺生丸に散魂鉄爪を当てようとした。
けれど殺生丸は犬夜叉の行動に察しがついていたのか即座にその攻撃をかわしたのであった。
殺生丸:邪見・・・
邪見を呼ぶなり殺生丸は黒真珠の冥界へと続く扉を人頭杖で開くなりその場を後にした。
無論、殺生丸の腕の中にいるも巻き添えに・・・その後に続くように犬夜叉達も後を追った・・・。
殺生丸の父親の胎内の中ではただ殺生丸を見つめ続けた。
その視線に気付いたのか殺生丸はをただ優しげな眼差しで見つめていた。
:・・・でしゃばっちゃったかな・・・。
殺生丸はの傷に触らぬようにただの言葉に耳を傾けた。
殺生丸はただ「あの場では仕方がなかった・・・。」とだけに告げていた。
父親の骸の中にを傷に触らぬように寝かせ、殺生丸はたった一本の刀に注目をした。
そんな殺生丸をはただ見つめながら「・・・ごめんなさい。」とだけ小声で語った。
邪見:・・・おぬし何を弱気なことを・・・。
自身では意識が既に朦朧としていた。殺生丸の爪の毒を大量に身体に注がれた為か、もう手足の感覚すらなかった。
そんなを不安に感じたのか邪見はただ気をしっかり持つような言葉を告げた。
殺生丸:・・・この殺生丸の前から消えることは許さぬ・・・。
そんな殺生丸の言葉に意識が朦朧としている中、は殺生丸に対して「分かってる・・・私は殺のこと・・・。」と呟きながらは気を失った。
そんなの言葉に殺生丸はただ深い溜め息を吐きながらも、今やるべきことを先に進めた・・・。
意識を取り戻し始めた時、の瞳に映ったのは殺生丸の左腕が切られてしまった後だった。
左腕から流れる血にただは苦渋し「やめて・・・。」と呟いていた。
それでもは殺生丸の化け犬と変化した背後にて横たわっていた為、何も出来ずにいた。
けれどは傷の痛みも気にせず立ち上がり、犬夜叉と殺生丸の目の前に入ろうとした。
そんなの様子に気がついたのかかごめは我に返り、けれど犬夜叉はそれよりも早く鉄砕牙を殺生丸へと薙ぎ払った。
無論それは殺生丸には当たることなく、が一足先に犬夜叉の前に出た為鉄砕牙の薙ぎ払いはに当たったのであった。
そんなの行動に犬夜叉はただ驚き、けれど殺生丸はただ紅い瞳での行動を見つめた。
それから殺生丸は化け犬の変化を時、を右腕で抱きしめるなりしてその場を去っていったのであった。
その行動にただ犬夜叉とかごめは唖然となっていた。
無論、邪見はそんな主の行動にただ冷や汗をかきながら「置いてかないでぇ〜」と叫びながら走り出した。
殺生丸は、小さいながらもその場にある泉にを沈ませるなり、殺生丸も岩に腰を下ろしたのであった。
既に犬夜叉に斬られた左腕は血が止まっており、その左腕の傷をただ殺生丸はずっと見つめ続けていた。
そんな中、を沈ませた泉が淡い緑色に光、が浮かび初めたのであった。
その光景にただ殺生丸は見入っていたのかただその場で苦笑をしていた。
いつの頃からか、の治癒能力の高さを知っていた。そして何度も殺生丸はそれに支えられていた。
無論その治癒能力は犬一族でも自分が知っている一族以外いないことも・・・。
ただ殺生丸は自分の傷よりもの傷の方を不安げに見つめていた。
この手で傷つけた腹部の傷と・・・そして犬夜叉によって傷つけられた刀傷を・・・。
辺りが寝静まった夜、梟の鳴き声しかその場には響き渡らなかった。
そんな中淡く緑色に光を放ち続ける泉があった。ただ殺生丸はその泉の中に眠る半妖の少女を見つめ続けていた。
殺生丸:傷の具合はどうだ・・・。
意識を取り戻したのに気づいたのか殺生丸は優しい声の元、に言葉をかけた。
そんな殺生丸の優しさに気づいたのか淡い緑色に光る泉に浮かばれながらもは声をかけた。
:何この水・・・。
その言葉に殺生丸は無言のまま岩に腰掛、そして邪見はただを見つめ溜め息を吐いた。
それから自分自身が知っている知識を持ってに語り出したのであった。
邪見:驚いたぞ、お主犬一族の治癒を持つ最後の生き残りであったか・・・。
その言葉にはただ瞬きをし、その意味が何を言っていたのか良く分からなかった。
そんなに察しが付いたのかただ邪見は深い溜め息を吐きながら詳しく語り出した。
邪見:お主の一族は犬一族からも他の妖怪からも恐れられていたからな命を食らうと言われておった。
その言葉にはただ一瞬震え、起き上がろうとしたが体が自由に動かなかった。
そんなに邪見はそのままの体制でいるようにに大声で叫んだのであった。
邪見:ま、それは偽りじゃったんじゃが、偽りを信じた者共が皆殺しにしおった。
:の母親もその者達に殺されたんじゃ、幸い殺生丸様がを助けて下さったんじゃがな・・・。
ただ邪見は溜め息を吐きながら内心を見つめ、そして殺生丸の表情を見つめた。
の治癒能力の高さを先程から理解していたのか殺生丸は微かに苦笑をし語った。
殺生丸:やはりか・・・お前の母親は・・・。
過去、自分と良く戯れていた女の犬の妖怪の事を思い出し、そして死に際の事を思い出し殺生丸はただを見つめた。
そんな殺生丸にはただ瞬きをしながら疑問を質問したのであった。
:母様を知ってるの?
そんなの言葉に殺生丸はただまた苦笑をし、そしてを見つめながら語った。
過去は過去でしかないという殺生丸らしい言葉を吐き捨てながらである。
殺生丸:あぁ・・・この殺生丸はお前以外どうでもよいがな・・・。
その言葉を理解していないはただ瞬きをしながら考え出した。
そんなを殺生丸は内心可愛らしいと思いながらもの言葉で微かに冷静になった。
:ねぇ、まだ私が側にいていいの?
その言葉に殺生丸はただ愚問だというように苦笑をした。
それから微かに満月を見つめ、そしてを再度見つめてから語り出した・・・。
殺生丸:お前は私の・・・手放すことは消してない。
邪見のその話の内容を聞きながらただりんはときめいていた。
そして邪見に対して「様、殺生丸様とお似合いだね」と明るめに語った。
そんなりんの言葉に邪見はただ「何を言っておるのじゃりん」という感じで叫んでいた。
けれど内心では自分自身でも認めていた殺生丸との関係をである。
殺生丸:邪見・・・りん・・・行くぞ・・・。
いつの間に戻っていたのか殺生丸はそんな二人を見つめながら歩き出し始めた。
そんな主である殺生丸を二人は大慌てで後を追いだした・・・。
その時ただは阿吽の背中で日向に辺りながら心地良く眠っていた。
そんなまだ幼さのある半妖であるをただ殺生丸は優しい眼差しで見つめ続けていたのであった。
後から追いついた邪見とりんはそんな殺生丸の暖かさにただそっと見守り続けていたのであった。
彼らの旅はそんな暖かい中、奈落を倒す為だけに旅は続いていた・・・。
〜 Bonus Histry 〜
ただ鉄砕牙の騒動の後、かごめと犬夜叉は殺生丸達が消えた後語っていた。
犬夜叉:分からねぇ〜人間も半妖も屑としか思ってない殺生丸がどうして・・・。
あの時の光景がまだ犬夜叉の脳裏から離れずにいたのであった。
半妖であるがあの時殺生丸に傷を付けられたにも関わらず、犬夜叉が殺生丸に放った刀の傷をは庇った。
その時殺生丸はただを支え、逃げるようにあの世とこの世の境から逃げ出した。
無論その光景をかごめも見つめていた。かごめはただ自分たちには名すら知らない半妖の少女を気にしていた。
かごめ:私にも分からない。でも・・・殺生丸は犬夜叉のお兄さんは何かを思っていたのかも・・・。
その後、また彼らは鉄砕牙を巡り、半妖のとまた再会するのであった。
その時、または殺生丸を庇った・・・その意味をただかごめは密かに悟っていた。
という半妖の少女はただ殺生丸が好きなのだということを・・・。
〜 Fin 〜
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Music Box/FINAL STAGE by:恋ひ花唄 |