今日からマ王 --抗えない運命--





誰でも良いから教えて欲しかった・・・どうして、何故・・・。
私の言葉は虚空にくれていた。それでも何故か何処かで自由を欲しがっていた。

幼い頃に母に手を握られて生まれ育った場所から離れた私は、もうあの頃の私に戻れなかった。
あの頃の私を知っていた友達も近所の人も私の事を怯えていた。

母が現実を知った方が良いと言った理由が分からなかったのは私だった。
私が魔族である事を母は、辛い思いをするのが苦痛だったのだろうか・・・。

父が居た小シマロンを私と共に離れていったのだった。
父はその時、私と母を引き止めなかった。それでもその顔からは涙が零れていた。

「忘れないでくれ・・私とお前の母さんがこうした決断を・・・。」

そう呟かれた時、私はその意味が分からなかった。
そう今になってその真実はなんとなく理解をしてしまったから・・・。

あれから私はあの場所を訪れようとはしなかった。
私が人間と魔族との間に生まれた者だから・・・・私はそれ以外の真実を受け入れられなくなっていた。

あれから、私は何度となく自分を憎んでしまった。
どうしても忘れられなかった。もうあの傷を残したまま私は行き続けていく・・・。



抗えない運命



ちゃんとももうじきお別れだな・・。」

そんな事を話しているのは、私の母の血縁の親戚、私は明日から此処にはいない。
私が行くことになったのは仕方がなかった。私が、魔族として生きる事を決意して私自身が決めたことだから・・。

:叔父様が悲しむ事ないでしょ・・また会えるんだし・・。

そう私はどうしても自分の血に抗いたかった。それでも、私は逃れることは出来なかった。
自分で決めた未来だから、それでも私は少しでも人間と関わりたかったのかも知れない・・・。

「それもそうだけど・・まさかちゃんがねぇ〜」

それは関心の言葉、私が魔族と人間の間に生まれたにも関わらず・・・
だけのその優しさは私の心を癒してくれるものだったから・・・。

:叔父様、それお世辞が過ぎますよ・・。

そう私が言いながら微笑むと叔父様は笑っていた。
魔術に無頓着な私が、叔父様の自慢の姪っ子になってしまったのだから・・。

「魔王陛下の側なんだ・・自慢しても無理はないだろ・・。」

そんな会話をするのも今日で最後、私は今日、血盟城で初めての仕事をする。
私が魔族の為に何かをしようと思ったのはこの時が初めてだった。全ては貴方に出会えたから・・。

:コンラート・・。

私は彼を見つけた瞬間に、直ぐに話かけた。
彼も気が付いてくれた見たいで、その場で微笑んでくれていた。

コンラート:まさか・・本当に血盟城で働くとはな・・。

そう呟いた時、コンラートは昔を思い出していたのだろう・・。
ルッテンベルクの獅子・・あの時の言葉は何となく分かったから・・。

:全ては貴方がいたから・・。

私が小生意気にそう言うと、彼は微笑んでくれていて・・・。
この時間がいつまでも続けられれば良いのに・・もっと貴方に知って欲しいと思っていた。

:っで今回の魔王様は何処に居るのかしら・・。

そんな私は無理に明るく振舞っていた。私が半分人間の血を持ってる何て誰にも知られたくないから・・。
私が無邪気な言葉を交わすのは自分の惨めさを隠すのに良かったから・・・。

コンラート:陛下なら・・ギュンターにこっ酷く教育されている最中だよ・・。

私が何を思っているのか、知っているように彼は語ってくれる。
そんな彼の側にいる事が何処か、居心地良かった。だから私が血盟城で働くことを望んだのは・・貴方が居たから・・。

:覚えてる・・貴方と私が・・出会ったの・・。

私は立ち止まってしまう彼の前だと、自分の気持ちが揺らいでしまって仕方がなかった。
そして貴方は私に向き合うのね。何故とも問わないその眼差しで・・・。

コンラート:覚えてるよ・・俺が聞きたいのは如何して俺を追い求めた。

その時の私はその苦しみを分かち合ってくれる者が欲しかったから・・・。
でもそんな理由じゃなかった・・支えてくれる人がただ欲しかっただけ・・・。

:それは・・それは・・。

私が半分は人間の血を引いてるから・・貴方を人目見たときに私は貴方を見入っていたから・・。
でも言えるはずがないのに・・私は、如何してそんな事を考えてしまうのだろうかと・・。

コンラート:もう自分を責めなくて良い・・。

そう言うと貴方は私を強く抱きしめてくれたね。
泣きたい顔をしていた私を・・私は貴方の前では素直になれる。

そして本当の私をも表に出してくれてしまう。
私は貴方の為に生まれて来たから・・本当にそう思いたいから・・それでも私は魔族の為に何かをしたかった。

:探していた・・・探してた・・私を自由にしてくれる・・貴方を・・。

私はどうしても泣き止まなかった。貴方の前では素直になってしまう。
どうして人を愛してしまうとそうなってしまうのだろう。本当に何を求めているのだろう。

重なり合う二人の唇はその空間だけを神秘的にさせてくれた。
何時か、魔族と人間が共同できる世界を陛下が導き出来れば良い・・。

その先に本当の自由がある事を知っているから・・だから今は前へ進むだけ・・本当の意味で・・・。


                                         〜 Fin 〜

今日からマ王、ジャンルに入れようかな?何て悩んでいました。
書いてるうちにパロディーになったりと・・面白いから許す!(後々、自分で何かいてるのか不明に・・)

さて今回の短編小説、如何だったでしょうか?
コンラートならば有り得るような内容設定であったと思います。

これからも小説をお楽しみ頂ければ嬉しく思っております
今後の作品をお楽しみにしていて下さい。それでは後書きとさせて頂きました。

ご意見、ご感想をお楽しみにしていますね。

By:七瀬 ネイ