幼い頃、良くこの時期になると遊んでいた。
正直何で遊んでいたのかは覚えていなかった。けれど覚えていた事は・・。
「Trick or treat」
毎回そう言って夜遊びに来る幼馴染の姿だった。
今は軍に志願してしまった俺がそんな事を思い出すのも不思議なものだった。
あの頃が懐かしいと思えたのは正直な気持ちだった。
今もはプラントにいるのだろうと思うと、正直に言えば会いたい反面会いたくない気持ちに悩んだ。
アスラン:良くこの時期には来たよな彼奴・・・。
ヴェザリウスはもう時期プラントに付く、それなのに何故か心は上の空。
何を考えているのかアスランは分からずにいたのだった。
そして何故か、再会が出来るとは思ってなくて・・・。
時期はずれのTrick or treat
プラントに付けば行き成り俺に抱き付いてきたがいて・・・。
正直驚いた。幼馴染であってもは女性だ。俺自身、理性が保てなくなる。
急いで来たのだろうか。ヴェザリウスから降りた後で少しだけ驚いた。
はイザーク達がいるのに限っていても余り周りを気にしていなかった。
:ねぇ〜アスラン・・・Trick or treat
は満面の笑顔で俺にそう向けると、俺は正直溜め息が漏れた。
未だにまだ覚えていたのか、しかもこの時期になると毎回この言葉が出る。
アスラン:あのな・・、俺まだ戻ってきたばかりで用意してないんだけど・・。
そんな正直な話をするのも久しぶりで、だけれどもとの再会に違和感を覚えた。
そう此処は軍の中なのだ。関係者以外立ち入る事など出来ずにいるはずだ。
クルーゼ:おや、嬢・・・志願したばかりで会いに来るとは・・・。
クルーゼ体調がそう告げたとき俺は正直驚いた。
が軍に志願をしたと、聞いて正直どうしてだということを考えた。
:クルーゼ隊所属となります。以後、宜しくお願いします。
今のは私服だったが、敬礼をしてクルーゼ隊長に語りかけていた。
俺が守っていたのに、何処か遠くにいってしまったような存在に感じられた。
クルーゼ:軍の指揮を持て成すクロア・ラーナスの令嬢ともあろう方が・・・。
:やはり貴方もお父様と同じ気持ちなのでしょうな・・それとも、誰か守りたいものでも・・・。
クルーゼ隊長は今だにに語りかけている。
はただ微笑みを返しながら、クルーゼ隊長が去るのを待っていた。
アスラン:おい・・・。
いきなり抱きついて来たと思ったら、は微笑みを返している。
俺はため息ばかり付くしかない。そんなを幼馴染と思えなくなったのは何時の事だろうか。
:Trick or treat・・・アスラン
そう言えば、このハロウィンの時期になるとは俺の前でこの言葉を告げる。
正直、幼さという感覚を今だに漂わせてくれる。そのが何故、志願をしたのかも分からなかった。
アスラン:、君はいったいどういうつもりだ・・・。お前は・・・。
俺は強引にの手を強く握って彼女を見つめる。
いったいどういうつもりなのか、正直に聞く為だけに・・・。
:自分で出来る事しちゃ駄目かしら・・・プラント内で平和の歌だけを望むのではなく・・・。
俺の顔を見つめては真剣そうに話した。
の真実は確かに正しい、けれども君はラクスと同様に歌っているだけでも良いのに・・・俺が守るのに・・・。
:っふ・・この戦い・・本当の意味で負けを認めるは愚かな行為をした自分達なのですよ。
そんな事を告げながら、俺に語りかけてくる。
何処かが儚げに見えて寂しさを隠しているように思えた。
アスラン:おい・・・。
抱きついたに俺は戸惑った。正直どうして良いのか分からなかった。
は軍に志願をした。その理由すらも知らない。ましてや戸惑いが俺の中にあるなのに・・・。
:兄が・・・死んだの・・・。だからもう失うのはいやなの・・・好きな人まで失うのはいやなの・・・。
そういっては、俺の前から立ち去ろうとした。
だけど俺はそれを止めて、を振り向かせた。無意識に俺はの唇を奪っていた。
アスラン:今回だけだぞ・・・俺の欲しいTrick or treatは・・・。
それがやがて恋に変わって、は俺の父を止める為にラクスと共に平和へと導く為に戦禍の闇に消えた。
俺は、あの時正直、が欲しいと思った。何処か消えてしまいそうな彼女をこの手に入れたいと・・・。
それでも後悔はしていない。本当に、戦火を止める事を望んだのは俺達なのだから・・・。
でもどうして、あの時何も思わなかったのか疑問に思ったのも事実なのに・・・。
:私の欲しいTrick or treatは何でしょうね・・・。
の小悪魔的笑顔は俺の理性を崩れさせるだけであって、俺は無意識に抱きしめていた。
は頬から涙を流した。辛かったんだろ・・・何より自分の側に当たり前にいた大切な人がなくなったんだから・・・。
:アスラン・・・一つだけ・・私のTrick or treatは・・・。だから・・忘れないで・・・。
本当は幼馴染のを抱くのは拒んだ。だけど、は後悔何て事を見せなかった。
俺は本当に途方にくれていた。ラクスと、本当に好きなのはどちらなのだろうかと・・・。
けれどそれは直ぐに分かった事で、は戦禍の中で迷わずに友を選んだ。
再び核を使わせない為に、その為には迷わずに歩んでいた。そして俺が特務隊になって再び再開をした。
そうそれはがエターナルにいた時だった。
俺は本当に戸惑った。はずっとプラントにいたのだと思いたかったから・・・。
:迷う事なく・・・前は、未来は私達が気づくものです。
そう言い渡された時、俺は本当に守りたかったのはだと理解出来た。
それが人を愛するという気持ちであって、この戦いの先に何が待っているのか分からなかった。
:ねぇ〜アスラン・・Trick or treat・・時期はずれだけど・・・。
の笑顔は俺の支えになっていた。もう迷う事は出来ないんだ。
俺が選んだのは、その先に待つ幸せの為だから・・・が俺に教えてくれた本当の気持ちを・・・。
アスラン:・・。
俺は不思議との名前を呼んでいた。
は俺の言葉に反応したのか、行こうとしていた足を止めて俺を見ていた。
:なぁ〜に?
その顔はもう迷いすらないのだろうと俺の中で思わせた。
何故かの唇を奪っていて、そしてを抱きしめていた。
アスラン:結婚しよう・・・。
その言葉は何時になるのだろう・・・俺はラクスの事をもう元婚約者としてでしか見れなくて・・・。
それ以上にを見続けていた。本当の意味で俺は大切なものをによって教えられたと思うから・・・。
:その言葉・・・約束だからね・・。
のその言葉に本当に救われたと思った。俺は何も救っていないんじゃない。
俺自身がによって救われてたんだ。正直、本当の俺の気持ちはもう迷う事はないと思う。
それが今を生きる俺達の宿命だから・・・・・。
〜 Fin 〜
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