Trick or treat!!
何がお菓子をくれないと悪戯しちゃうぞ!、だ
はっきり言って、俺はこの日があまり好きじゃない
お菓子やらないと、実際に悪戯してくる奴だっているし(去年無視したときは本当に酷い目にあった)
無理やり訳の分からない衣装を着させようとする人もいるし
大体、甘いものが好きじゃない俺にとってはむしろ、勘弁してほしい・・・・て感じだ
ほら、今年もまたやってきた
Trick or treat ?
「Trick or treat !!!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「お菓子くれないと悪戯しちゃうよ?」
花を纏わんばかりの笑顔で、周りに氷を纏ったような顔のアスランにそう告げたのはキラ・ヤマト
キラキラと瞳を輝かせて、図々しくもお菓子を入れるための専用の袋まで差し出した
「・・・・・・・・・・・・・・」
怒らせると何を仕出かすか分からないNO.1なこの幼馴染を無視するわけにもいかず
アスランは用意して置いたお菓子をパラパラとその袋に入れる
「・・・・・・・これだけ?」
アスランがその袋へ落としたお菓子の量が不服なようで、キラはじろり、とアスランを見つめる
「・・・・・・・・・・はあ、これだけだぞ?」
そう言ってさらにお菓子を袋の中に落とす
「ふふっ、ありがとアスラン!おいしく頂くね!!」
どうやら今度は満足したようで、満面の笑みを見せて去っていく
彼の次なる標的など気にする余裕もなく、早く部屋へ戻って寝た振りでもしてしまおう・・・・・アスランは足を急がせた
「あ!アスラン!!いいところにいた」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
目の前に突如出現した少女、カガリに再びアスランは心中でため息を吐いた
絶対、待ち伏せしていたに違いない
「悪戯されたくなかったらお菓子よこせ!!」
キラとは違い、その手にハロを持って今にも壊さんとする少女に、今度はあからさまにため息を吐いた
大体それはラクスにやったやつで・・・・・・・
「これだけしかないからな」
手持ち分全てのお菓子を渡す
「へえ、今年はちゃんと用意してくれたんだな!」
アスランがお菓子を出してきたことに、カガリは少し驚いた
「そりゃ・・・・・去年みたいなのはごめんだからな・・・」
思い出しただけで頭が痛い
なんでたかがお菓子のために、自分があんな目に合わされたのか未だに納得のいかないアスランだった
「そうか?・・・・まあいいか。よし!次はキラのところでも行くか!!・・・・・・・・じゃあな、アスラン!!」
「ああ・・・・・・・・・・・(ある意味修羅場が待ってるよな・・・・・)」
“お菓子争奪戦”という名の。
今度こそ部屋へ戻りたいと急ぐが、前方に現れたピンクのシルエットに今度こそ肩を落とした
「あら、アスラン・・・・。Trick or treat ですわ!!」
いつもより何処となく黒い笑みに、アスランは先手を打つべく少女にソレを差し出した
ある意味、悪戯という点に置いては彼女に勝る者はいないだろうから
「ハロ、ハロ!!パンプキ〜ンっ!!」
「・・・・・・・・まあっ!!」
アスランの手を離れて、ラクスの周りで飛び跳ねるソレはハロ・・・・“ハロウィン仕様”
かぼちゃをイメージして作られたそのハロに、ラクスは瞳をキラキラさせた
「・・・・これでいいでしょうか?」
彼女にはお菓子という類よりもこういう物のほうが好きだと分かっていたから、アスランは数日前からこれを作っていた
さすがに、精神的には疲れたが。
「もちろんですわ!・・・・さすがアスランですわね」
嬉しそうに抱えて、ありがとうですわ、とそう言い残してラクスは去っていった
きっとこれからキラのところにでも行くのだろう
しかしアスランにとってそんなことはどうでも良く
とりあえず、一番大変な3人の相手を終えたことに安堵して、今度こそはと部屋に戻る
「・・・・・・・・・・・・・・・・・そういえば、」
そういえば、まだ来ていない
来ていないというのはアスランの恋人でもある少女、 ・ である
こういう日は必ずと言っていいほど一番に来るはずなのに
「でも、困ったな・・・・」
アスランが用意していたお菓子は先ほど、全部渡してしまった
だから、例え彼女に Trick or treat! と言われてもあげられないわけで・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・そうだ」
ふと、アスランのその端正な顔に黒い笑みが宿る
「そうだよな・・・・・・・・今日ってハロウィンなんだよな・・・・・・・・・・・・」
部屋へ戻ると、そこには何故か自分のベッドでうとうととしている少女が
アスランはそんな少女の可愛らしい様子に笑みを浮かべて、傍へ寄ると優しく体を揺すった
「・・・・・・・・・・・・・ ?」
「・・・・・・・・・・・ん・・・・?・・・・アス・・・?」
未だ焦点が定まっていないらしく、猫のように目を擦る
そんな仕草は、やはり可愛らしくて・・・・
はっと気づくと、 は嬉しそうに言葉を紡ごう・・・・・・・・・・・・・・・・とした
「あ、アスラン!!と・・・「Trick or treat ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
まさか、彼に先に言われるとは思っていなかった は、口を開いたまま動きを止めた
「だから、Trick or treat?」
そんな を面白そうに眺めながら、もう一度同じ言葉を告げた
「え・・・・・・・・・・えと・・・・・?」
当然、アスランにお菓子を貰うつもりで来た が持っているはずもなく
そして何故か少しずつ迫ってくるアスランに焦りを覚えた
「 ・・・・・・・俺に言っていることわかってる?」
「え・・・・・で、でも、わたし今お菓子なんて持ってないし・・・・ほ、ほら!アスラン甘いの苦手じゃないっ!!」
「ここにある甘いのなら、大の好物だけど?」
「・・・・・・・・・・・っ!!」
アスランが指しているのは甘いお菓子などではなく、 張本人で
とてつもなく嫌な予感のした を後ずさろうとするも、気づけばアスランの腕の中
「 、俺に悪戯されるのと、甘いものくれるのと、どっちか選んで」
「どっちかって・・・・・・・・どう違うの・・・・・・・?」
聞いちゃいけない気がしてならないが、この場ではどうすることもできず
できればこの場を逃げ切る方法へと繋がれば・・・・・・・ の頭の中はそれでいっぱいだった
しかし、目の前の彼がそんなに甘いはずもなく
「そうだな・・・・・・・・・甘いものをくれるなら俺が を気持ちよくさせてあげる。
で、くれないなら俺を気持ちよくしてもらう」
つまりはどちらを選んでも にこの場を逃げることはできないということ
「ひっ・・・・・・・・・・・」
その次にはいつのまにか視界に映るのは、天井に変わっていた
そして覆いかぶさるようにアスランの笑顔
こんなときに笑う彼は非常に危険だ。
「ねえ 」
「は・・・・・・・・はいっ」
「Trick or treat ?」
アスランはこのハロウィンが少し好きになって
が苦手になったことは言うまでもない
end ?
(c)popo
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Music Box/G2-MIDI 真河 涼 by:Trick or Treat! |