その部屋は、私が何時も幼馴染みとして側にいた私の世界のロイの部屋に似ていた。
けれども何処かが違ってた。ただその部屋には温もりと呼べる暖かな場所はなくて、ただ虚空だった。
その部屋を見つめた時、私は彼の心を読みとってしまった。
そう、心を読むことなど魔力を持つ者には動作もない。だけどそれは簡単で・・・。
けれども他人を気づつけてしまうから、だから私は魔術も魔力も嫌いだった。
だけど私の世界では、魔術は全て理だった。使えない者などごく僅か、だから・・・。
心を読むなど私の世界ではする者はいない。そう心を読むことなど出来ないから・・・魔力を持つ者の間では・・・。
ただ、この世界のロイを見つめている。何故か彼の瞳にはまだ戦争の頃の記憶があって・・・。
ロイ:、君はベッドで寝なさい・・・。
私は、彼の部屋を訪れてから何も語らなかった。
それでも言葉は耳に届く、ロイは側にいるから・・・。
:迷惑でしょ・・・私なら大丈夫だから・・・それにあまり心配かけたくないし・・・。
それでも貴方は、そんな素直ではない私に対して反論をする。
そしてそれは、私の知っているロイと同様・・貴方は全ての女性には優しすぎるのよ。
ロイ:なら、私が先程した通りにして欲しい・・・女性にはきついだろ・・・。
まだ私は知らなかった。賢者の石に関しても、そして私が全てを巻き込もうとしていた事も・・・。
そして私がこの世界とは無関係で要られなくなる事も・・・全ては後の物語の終焉。
彼女を見つめていた・・・ずっと、私は彼女を彼奴に似ていると最初に出会った頃に思った。
そして名までもが一緒・・・けれども私の知っている彼奴は、私より先に亡くなった。
そう私はその後の傷跡をずっと引きずっている。寂しい以上に、何故守れなかったのだろうか。
それが脳裏で、ずっと悪魔の囁きを続けさせる。本当は守れていたかも知れないのに・・・。
気が付けば彼女は既に夢の中、安心した寝息が私の耳元に届いてくる・・・。
私は溜め息が漏れるしかなかった。その表情も彼女に似ていて・・・。
ロイ:・・・っ・・参ったね、君は全てそっくりだね・・・。
何気ない笑いをもう私は、既に彼奴の存在を忘れていたのに・・・
けれども私のベッドに横たわる君は、彼奴と同じように私を迎えた。
ロイ:君はまた・・・私に何を伝えてくれるのだろうね。
そう言って私は彼女の髪の毛に軽くキスをし、その場を去った。
この部屋は広い・・君が居た時には感じなかった虚しさがあるからな・・・。
何時も、この部屋を君は・・・もう忘れよう・・。
君を思いだしても・・君は帰って来ないのだから・・そうだろう。
第三章 彷徨う心
朝の日差しは、目覚めを覚醒させてくれた・・・。
そんな中で私の髪を撫でてくれる人物がいる。昨日の今日でも彼女は何も変わっていなかった。
:おはよ・・・ロイ・・・。
は何もなかったように、私を起こしてくれた。
それ以上に、その瞳が悲哀にも満ちあふれていて何処か消えてしまいそうな気配だった。
ロイ:あぁ〜おはよ・・・。
私がソファーからすんなり起きたのか、は未だに側に居てくれて・・・。
何故か、私の側から離れようとしなかった。
溜め息が少し漏れる。私は何故かこの先を知っている・・・そんな感覚と共に覚醒させられた。
でもそんなはずないのに、この世界でもそんな事あるはずないのに・・・。
私との同一人物は恐らく今は・・・多分、存在しない。それはこの世界の理。
何故か、魔術に無頓着なのに本当に私は必要じゃない時に魔術の厳密な術を使ってしまう。
そして、この世界の理で一人の人間が同類の世界に二人はいない。
私がこの世界で時の王と契約が出来たのもその為・・・この世界での私はもう居ない。
それは、私に関わる全ての者の心を垣間見る事で知ってしまう。
だから、時を航のは辛すぎる・・。だから、契約はけして厳密にはしてはいけない。なのに・・・。
:誰を思ってるのかも・・・知ってるけど・・・はぁ〜。
少しでも良かった。少しでもロイが安息出来るので在ればそれでも良いと・・・。
あの後、ロイが多少の深い眠りについた後だった。私は何時の間にか眠りについていて・・・。
気づけばロイを探していた。なのに、私は何も求めていなかった。
また私は溜め息が漏れる。ここは私の知らない世界なのに、知っている人が多くいるそんな世界だと・・・。
ロイ:・・・。
シャワーから浴び終えたのか、それ以後か既に軍服姿の彼は何時もと変わらない表情で・・・。
私はただ先程まで考えていた事を忘れてしまった。
:っん・・・どうかした?
悩んだ顔を貴方に見て貰いたくないから・・・苦笑いをしてでも貴方の側にいる。
ロイはそんな私に気が付いてしまったのかな・・・。
君は誰かに悩みを開ける事はないんだね。私のように・・・。
そんな態度も彼奴とそっくりだった。考えては行けないもう・・彼奴の事はけして・・。
ロイ:いや・・・何でもないよ・・・。
それから私はロイの世話になるからと、朝食の準備をしてロイに食べさせた。
もちろん、二人で食事をしたのだが、後々の話は軍でする事になった。
そして東方司令部。ただいきなりの出来事だったので、照れくさかった。
そう、この前の私が魔術を使ったせいで、ロイの部屋に訪れたせいか噂が噂を呼んでしまったようだった。
エドワード:・・・大佐に何もされなかったか?
絶妙なタイミングで現れたのは鋼の錬金術師であって、何故かロイを蹴飛ばしている。
私は苦笑いをしているのだが、エドワードはこちらに気づいたらしく・・・。
ロイ:失敬な・・・私がそのように見えるのか・・・鋼の・・・。
確かにこちら側でもそれはそれで変わらないと悟ってしまう私であった。
ただこちら側では、余りにも錬金術以外が無関係には思えなかったのはその頃の私だけであった。
エドワード:本当に、そうなのか・・・。
そんな話を私にしている所が兄様に似ていて・・・それでも兄様と呼ぶのを拒絶していて・・・。
今後どのようにしていけば良いのか悩んでしまった・・・。ただ・・・。
:あのぉ〜取り合えず・・・落ち着きませんか・・・。
既に軍の方々は通路でのやり取りを気にしたらしく、ロイ達を見回していた。
私は恥ずかしくて赤くなっていたら、いきなり司令室へと連れて行かれて・・・・。
ロイ:あんな場所で話せるか・・・。
口をふさがれた時、何故か私は緊張をしていた。
私の世界のロイは幼馴染み以上の一線を越える事はなかった。でも・・・。
:あのぉ〜エドは・・・?
ようやく、ロイから離れられて私はあの時の状況が飲み込めず結局されるがままだった。
そして今も、説明をしてもらおうと思った。でもロイは笑っている。
ロイ:弟が連れて行った・・・周りに迷惑だったからな・・・。
ロイは溜め息混じりに司令室の扉に鍵をかけていた。
その姿はまるで男であるような凛々しさがあって、私は未だに赤かった。
:ほぇ・・?
その言葉は何故か不思議と表に出た。何故か、何もなかったように安心したのかと思った。
ロイは此方を見つめているし、何よりここには今二人しかいなかった。
それでも何処か私には幼さが残ってて、ロイは私を見つめていて・・・。
でも何故か私は、この世界の人間ではない。ただ帰りたいだけ・・・何故か虚しさが残る。
やはり全てが似ていると私は思った。姿形だけではない。
彼女の全てがに似ているのだ、私はあの時現実を受け入れられなかった。
何処かで彼女は生きているんだ。彼女と再会出来るのだという後ろめたさがあった。
あの時も鋼のは、彼女に対して過保護でそれでも彼女は優しかった。そうまるで弟を見つめるように・・・。
でも彼女はいなくなった。この世界から・・・それでも何処か空っぽを満たしてくれるだろうと感じていた。
今は少しだけでも空っぽの心が埋め尽くされた気持ちだった。
ロイ:今後、君はどうするのかね・・・。
だけれども何処か彼女は違う。彼女と一緒にしてはいけないのだと・・・心から感じてしまった。
:私・・・軍に入る・・・この世界からしてもやっぱし・・・。
あの時、偽りでも私の世界と同じ言葉を継げてくれるロイが嬉しかった。
それでも守られてばかりは、もう私には嫌だった。父や兄の存在が多き過ぎて、私は結局、守られて・・・。
だから失ってしまった。貴方にとって大切な親友を・・・。
そして真実をしっていたのもその貴方の親友で、でもこの世界では余りにも同一し過ぎる訳がないのに・・・。
ロイ:私は無理に君の希望を止めたりしない。けれども一つ、約束させてくれ・・・。
そう私が彼女に告げようと思った言葉、そして結局告げられずに永遠の別れとなってしまった者への言葉。
は何も言えずに黙ってた。それは言いたいことが分かってたから・・・。
ロイ:君を守るのは私だ・・・。昨夜の言葉は嘘偽りはない・・・。
ロイはそのまま仕事に戻ってしまって、私は何故か錬金術について調べだしていた。
少しでも私は守られるのが嫌で・・・けれども、この後、東方指令部内に衝撃な事件が起こるまでは・・・。
「親父、俺が会ってくるよ・・・。彼奴にだけは絶対譲れないからな・・・。」
その頃、俺はを追う決意をしていた。けれどもそれは数秒の契約だけだから・・・。
どんなに側に居ても、は契約として戻って来れない。あちらの世界の人物に関する事も・・・。
契約は絶対のものだった。鑑賞しても限られた契約がある。
けれども、俺はそんな中で彼奴に会いたかった。好くなからず、妹に・・・。
「分かっているな・・・契約は・・・」
親父が心配するのも無理はない。けれども妹は無頓着な魔術を使ってしまった。
これには俺の責任も問われるだろうと思っているからだ。なのに、親父は俺まで心配している。
「心配するなよ・・・これでも俺は魔術は得意だぜ・・・。」
親父に何時もの表情を見せればそれで何時も平気だった。
俺が待っているのは妹だけさ・・・ただ大事なものを私に行くだけなのだから・・・。
:ほぇ〜分からない・・・。
こちらの世界の知識など分からず、仕方なしにはロイから託された錬金術入門を読んでいた。
やはり異なっているからなのだろうか、それでもは余り自分の世界と変わらない事に安心をしたのか多少は覚えた。
それでもやはり分からない事はあるのだった。何度考えても答えを導けずにいるのだった。
結局はロイに手助けなどして貰って学んでいるのだが・・・やはり東方司令部には何時もより明るかった。
ロイ:・・・息抜きでもしてきなさい・・・。
それは全てが来てからである。ロイも多少は変わり始めていた。
何故かあの頃を思い続けていたのに、今は何故か変わっている。責めて前に進むだけしか意味がないのだから・・・。
:はぁ〜やっぱり駄目・・・制御出来ないよ・・・。
心を悟ってしまう。ただそれだけで相手に知られたくない過去もしってしまうのだから・・・。
溜め息がずっと漏れてしまう。そんな中、彼女は暫く東方司令部から少し離れていた。
けれども、その時、誰もが思ったかも知れない。
あの時、は何も告げずに東方司令部を抜け出したのだから・・・。
ロイ:参ったね・・・このままだと私はまた君を取り戻したくなるよ・・・。
そうが東方を抜け出した事はこの後、知ることになる。
そして、過去の因縁が再び始まろうとも思わずに・・・。
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Music Box/VAGRANCY By:優しい嘘 |