死と生を司る祝福の暗殺者、さあ・・始めましょう。
闇の中で育まれた乙女達の物語を・・祖は復習の物語を・・。
祖は闇の中で育まれる流転の嘆きの物語。
祖は己の力で全てを消し去る物語、そして何より其処に守るべき者はいない。
祖は自分を守る為ならばその武器を手に取りなさい・・。
貴方が狩るのは獣でも心でもない。そう人の命なのだから・・。
そして己の真実を手にしなさい・・貴方は無力である事を・・・。
貴方の心が惑わされるのは一人の男だけなのだから・・。
その乾いた音から漏れる音を聞くのは誰なのでしょうか。
貴方にその縛られた心を解放すのは誰なのでしょうか。今、その物語が始まりを告げる。
第一章 祖は古よりの運命の名
雨音が私の心を全て癒してくれていた。
雨音だけが私の友達、黒いドレスに身を包み右手にナイフを持っている。
どうして私は人間を傷つける事が出来るのだろう。
どうして人は泣くのだろう。何度その問いを人に聞いて来たのか・・。
何度私は人を殺めているのか、殺す者を彼らは探す・・。
でも大人は皆、子供が殺めている何て思わない。私も最初からそうだった。
でも人を殺すのに、何か意味があるのかしら・・。
私に何を説いているのかしら・・。その意味を誰か私に教えてくれるのかしら・・。
「君は素晴らしい・・実に素晴らしい瞳をしてる・・実に素晴らしい殺め方をする。」
私の側を一人の男が何を思って近づいているのか分からなかった。
私はその男を気障だと思った。そして気に食わないと思った・・だから殺めた。
けれども誰もそれを止める事はなくて・・雨の中に赤き血の雨を私は流す。
また私は誰も知らない者を殺めてしまった。何故か、誰も止める者など私の中にはいない。
「死の女神の祝福を受けた彼女に・・その言葉は無意味よ・・貴方のような男は殺されて妥当だわ・・。」
雨音の中で漆黒の黒髪の少女が私を見つめている。
私は何故か同じ気持ちを共感出来た気持ちで居られた・・・。そして何故かその瞳に同じものを感じた。
「祖は古よりの定めの名・・貴方は何なのかしら・・貴方の母は誰なのかしら・・ねぇ〜タナトス。」
そういった少女の顔からは笑いが込み上げていた。
そして何故か、私は白銀の髪を血に染めることを後悔はしていなかった。
それは遠い過去の夢、現実から忘れる事の出来ない忘却の痛み・・・・・。
瞳を開けば其処に移るのは、何時もの部屋、何時もの場所。何一つ変わらない場所・・・。
そして何時もの日常生活に戻らされる・・何も幸せを知らない彼女。
そして再び日常は時を刻みだす。それは分かりきっている事に変わらない。
彼女の名は、・。何も知らない心は何かを求める。
ただ朝日が眩し過ぎる。気が付けば電話がなる音が耳元に響き渡る・・。
:誰かしら・・・。
人間など所詮は弱肉強食にしか過ぎないのだから・・・。
電話を受け取る時は、何時も依頼。それ以外に電話など使用した事はない。
「今日の依頼・・受けてくれるわよね・・タナトス。」
その言葉は変わらない。受話器を持ちながら聞いている相手の声は何一つ変わりはしない。
それはネイ自身も同じであって、偽りと真実の自分が交差される思いをする。
:祖は古よりの定めの名・・・。
言葉を交わすとは笑う。人を殺めるのは好きではない・・・。
なのに人を殺す・・彼女はその中でしか生きられないのが運命だから・・。
受話器を置けば安堵の溜め息。そして左腕に刻まれたものを見つめる。
その腕は、皆が見れば何も分からないだろう。彼女の首にも刻まれた紋印の意味を・・・。
:前に私の心を変えたのは貴方だったわね・・っふふ・・。
そう語ればは引き出しから己の武器を取り出し、持ち出した。
ただ引き出しの中には、彼女のもう一つの顔があった。そして今も、普通には戻れない。
ロイ:退屈だ・・依頼とは言えこの会場で客になり済ますのは・・。
ロイも今回の依頼を受けられていた。そうが依頼を受けた人物とは今回はパートナーを組む事になっていた。
当然にその二人は何も知らされてはいない。面上の仕事を生かし、彼女は今日此処に来ることになっている。
ロイがこの依頼を受ける理由をもったのは二つだけだった。
一つはタナトスの素性。それを知る者は誰もおらず、彼女の暗殺の腕は噂話にまでなっているからだった。
そして、その素性を知る者はごくわずか、パートナーを組んだ者も素性を明かしていないと聞いたことからだ。
ロイ自身、その存在に興味を持ったのだが、多少気になったことがあった。
それは、彼女が雨の日の依頼を滅多に受けないということからだ。
雨を嫌う理由を誰も知らない。ただロイは知っている者と何か共通点を感じていた。
そうそれが、だった。・・・彼女も雨は苦手だと昔語っていたからだった。
今日の依頼が単純であろうが、ロイには関係なかった。依頼をこなせば全てが終了するからだろう。
ロイ:全く、ヒューズも良く情報を入手する・・。
今回、彼女の噂は耐える事がなく、パートナーを組む暗殺依頼が多い。
そして彼女が組むとされる依頼の入手は大多数が困難である事を聞いていた。
それを同様の親友であるヒューズが手に入れた時、ロイはその噂が確実なものなのか確かめて見たいと思った。
そして、依頼の承諾を受けるものの依頼をこなすまでが長く感じるのだった。
ロイ:そろそろか・・・。
この時間になり、明かりと照らしている照明は全て消される。
その間がターゲットが動く可能性が高いとされる場所だ。そして今回は舞台の歌姫がいる。
ただ気になるのはその歌姫が、同じ暗殺の者かだ・・。
照明が消されれば皆がその歌姫に集中する予定になっているらしい。
一点に光が集中すると、その歌姫は舞を見せながら歌いだした。
その歌をロイは何処かで聞いた覚えがあった。けれども、似ていてもそれは違う歌。
もし本当にロイの知っている者ならその歌はロイの為にしか歌わない。
昔、その誓いを彼女は去る時に、私に継げたのだった。そしてロイは仕事をこなすべく動いた。
歌姫は舞ながら歌い続ける。その歌姫がとも知らずに・・。
もまたターゲットを見つめていた。何故か、その場でずっと獣の瞳のように・・。
隠し持っていた針を彼女はターゲットに向ける。それは合図としかいえない素早さだった。
その針に毒が刺さっているとも知らずに・・・。明かりがついた時、皆のざわめきがあった。
ロイ:まさか・・噂が本当だったとはな・・。
その素早さからロイは関心してしまった。
そして舞台で先程まで歌っていた歌姫はもう居ない。
:貴方がいるとは思わなかったわ・・。
舞台を去った後、はロイを見つめた。
居るとは思わなかった。を探しているとは思わなかった。
ネイが闇の中に消えたのはロイが幼馴染のとき・・。
そしてそれが幼い頃の事だった。そして、再びその運命が交差するとは思いたくなかった。
祖は古よりの運命の名・・その本当の意味をロイとは知ることになる。
|
Music Box/Amor Kana By:久遠 |