第十一節 時の再会
会いたい気持ちが蔵馬と梅流を交差する・・。
どんなに待ち続けた事か・・それが後悔をする事になろうと・・。
宿屋で蔵馬は不思議な客を迎える事となる・・。
その日梅流と再会をする夜に・・。
狐桜は蔵馬と向き合って話を始めた・・。
それでも何かを得たのだろうか?
梅流に会う切っ掛けも旅もそこから始まる・・。
川辺は月に照らされ輝きがあった・・。
心がそれに和んでいく・・。
蔵馬の気持ちは堅く揺れる・・。
このまま去ってもかまわない。
けれど逃げている事に変わりはない・・
それでも梅流に会う事の決意は変わらずにいる。
拳に力が加わる・・。
時が静かに流れ続ける・・。
町中に響く市民の声・・生活に満ちあふれている。
ただ何も変わらぬ平穏の日々。
蔵馬:来てくれるだろうか・・?
蔵馬は夜の空を眺め続ける・・。
少しだけ戸惑いといらだちを感じさせる・・。
そして梅流も屋敷からかけだした・・。
そこには手紙という言葉があった。
息を荒くしてでも蔵馬の側に早く行きたい。
何故か周りが見えなくなっていた。
ただ求めている者がそこにはいる・・。
強い意志・・欲望や嫉妬となってまでも・・。
市場や宿屋を離れ滅多に訪れる事のない場所。
思いもしたくない悲劇の場所・・。
あそこで父親を失った場所・・。
それでも蔵馬はあそこにいる。
結果がどんなものであってもいる場所は避けられない。
行かなければならない・・。それでも・・。
川辺に着いた時足は不意に止まる・・。
息はまだ荒い・・。
辺りを回りを見回し続ける・・。
そこに一人の人物がいた・・。
赤髪、真剣な眼差しをする緑の瞳の彼に・・。
梅流:蔵馬・・。
梅流に呼ばれた蔵馬・・。
そっと体を梅流に向ける・・。
蔵馬:梅流・・。
梅流は蔵馬に抱きつく・・。
蔵馬はそっと体を抱きしめる・・。
梅流:蔵馬・・ずっと
蔵馬:もう側にいるから・・だから・・
瞳を蔵馬は閉じる・・。
梅流の泣き顔など蔵馬は見たくないのだった。
それでも旅立つ梅流にとってはうれしいものでもあった。
蔵馬の肩にそっと誰かの手が触れる。
蔵馬:羅威・・
羅威:それがお前の決断なのか・・
蔵馬:あぁ〜
羅威はため息も何もする事はなく・・。
ただその真剣な顔にまなざしを向けるだけ・・。
それでも微かからは微笑みが見えた。
静かにその場は終わりを告げた。
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