聖地の祈り









第八節 月の試練
 
 不安をずっと抱き続けていた・・。
 けれど何者にも変わらない恐怖・・そして不安・・。

 幾日も変わらぬ生活など出来はしない・・。
 旅立ちのその試練は始まりを告げた・・。

 錫杖を持つ白衣の着物・・それに似合わぬ藍色の帯。
 蒼い髪が太陽の日差しで目映く見える・・。
 護刃は双剣を鞘にしまい装備をする・・。

 術の札を持ち、杖を手にする者・・。
 藍色のスカーフは癒羅を綺麗な姿に見せる・・。
 白いスカート、誰もが魅惑する・・そして首もとのネックレス・・。

 重剣を装備し茶色の衣である着物・・はかまの姿に見える・・。
 自ら作り出している薬草を手に持ち壊威。

 その3人を見つめる用に羅威も双剣を鞘にしまう・・。
 肩に弓を背負わせる・・武器では優れている羅威は皆を支える・・。

 そんな4人の中心には必ず2人の人物がいる・・。
 梅流と蔵馬・・けれどそこに蔵馬の姿はない。

 十字架のピアスが耳元を光らせる・・。そして同様のネックレスも・・。
 肩から羽織るのは風になびく・・スカートも藍色のスカート。
 杖が太陽の光に浴びて目映い・・。腰には鎖に4つの水晶が繋がれている。

 けれど旅立つ時はいつも彼、蔵馬が一緒であった・・。
 けれど蔵馬は梅流の前にいない・・どんなに待ちわびても・・。

 それがどんなに過酷な事か・・
 これから決める梅流達の定め・・運命は変えられない・・。

 産まれ月日幾日・・。
 屋敷での思い出捨て去る事の出来ない記憶。

 一日一日がその写真に刻まれていく・・。
 幼い頃の蔵馬と梅流の写真に・・。

 屋敷を出るとすでに羅威達は梅流を待ちかねていた・・。

 羅威:遅かったな・・

 微かな微笑みは妹を迎える瞳・・。

 癒羅:行きましょ・・未来へ・・。

 屋敷から彼らは遠ざかる・・。
 そして住み慣れた町からも・・けれど試練は乗り越えなければならない・・。

 その森は鳥のさえずりすらない・・。
 自然と呼べる存在がない。魔物という人の心が生み出した者が当たりを覆う。

 羅威は弓を引き魔物を殺す癒羅は術を譲刃は双剣を使い・・。
 梅流は水晶をいや精霊石を使う・・。懐威は皆の傷を手当てする・・。

 魔物は次々と増え続ける・・。
 杖の力を借り精霊石は更なる輝きを増す・・。

 梅流が使用したのは、紅色の水晶・・。
 炎の精霊はその輝きで魔物を紅蓮の炎で焼き尽くす・・。

 魔物を払いのけた先に目的の神殿はあった。
 まるで不気味に見えるその場所・・。

 太陽の光さえない・・あたりは闇に覆われている・・。
 水にはあるはずのない月・・。

 まだ昼間であったにも関わらず・・。
 けれどその聖なる領域には魔物は訪れず・・。

 神殿の中も荒らされてはいない・・。
 中央に不死を意味する炎の鳥の像、そこは以前は民が住んでいた・・。

 けれどその名残はない・・。
 炎の鳥の像の近くに小さな老人がいた・・。
 尖った耳はエルフ族にも人間にも魔族にも存在しない・・。
 
 「長いこと・・どれ程貴方様を待った事か・・」

 近づこうとした梅流を羅威は押さえる・・。

 羅威:お前は精霊神の縁の者か?

 「既に我らは滅びた身・・ここの領域でしか我は生きれぬ・・」

 羅威:俺達はこの先にある者を願う者・・。

 「ほほほ・・お若いの精霊を扱うのはソナタが罪を背負うからか?」

 老人は梅流の側により始める・・。

 梅流:私は・・召喚師だからだから・・

 「行きなされこの先はソナタのみが行く場所・・。」

 梅流の意識はそこでとぎれた・・。
 誰かに操られているように・・羅威達の声など聞こえずに・・。

 碧:やっぱり来ちゃったのか?ようこそ月の神殿へ・・

 梅流:碧・・?

 「クル・・?」

 梅流の側には夢で出てきた動物・・。

 ルナ:私はルナ・・月を司る者・・。

 梅流:え・・

 ルナ:貴方は私を司どるのに等しい者?

 それが何を意味するのかも梅流にはまだわからずにいた・・。



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Music Box/Music Box/G2−MIDI 真河 涼 by:遥かな空への鎮魂歌