先生方の堅苦しい会話が、教室内でされていた。
何処か上の空で、彼女は見つめていたのであって･･･。

そして何処か、早くこの会話が終って欲しいとは溜め息を漏らしていた。
夏休み前の毎年恒例のこの説教に正直は疲れていたからだった。

が何処かそう思っている頃、同じ終業式が終わりを告げようとしている学校があった。
彼、アスラン・ザラも同じような事を思っているのか上の空だった。

退屈･･･ただその考えだけが脳裏に過ぎる。
毎年、同じ言葉を繰り返されれば耳にたこができる程である事は分かっていた。

そして、そう思っている終業式が、こんな退屈な日常を終える事を意味する。
そう、この先には長い休み、夏休みが待っていたからだった。

それが、始まりの物語･･･二人にとっての･･･恋愛の物語･･･。




前章　真夏の計画



アスラン：キラ･･･言ってる意味が分からない･･･。

そう告げたのは、今、目の前にいる僕の幼馴染のアスランで･･･。
僕が夏休みの予定を聞いたら、アスランの第一声がこれだった。

終業式が終わり、先生達の長い話が終わり、そして午後から夏休み。
だから、僕は以前のようにラクスとカガリに話しをした通り、今年もやろうという事になっていた訳で･･･。

勿論、それはアスランにも話をしようとしたけれども･･･。
同じ高校に通い、僕と頭の数が違う優等生のアスランには話を持ち出す機会が校内では滅多にない。

キラ：だから夏休み･･･僕の別荘で過ごさない？

去年も同じことをアスランには話をしたんだけど、今年は去年のように予定が開いてるのか分からないし･･。
責めて夏休み前に話でもできれば、本当は良かったのかも知れないのだけれども････。

アスラン：キラ･･急に言われてもだな･･･。

アスランは僕の話を真面目に聞いてくれるし、僕が苦手なマイクロユニットだって手伝ってくれてた。
感謝をするのは本当の気持ち何だけど･･･それでも夏休みの楽しみは皆で分かちあいたくて･･･。

キラ：ほら、ラクスも僕もましてやカガリも忙しかったっていうか･･･。

ラクスは歌姫で、僕の婚約者だけど･･･仕事とかで生き抜きできないのが辛いとラクスも語っていた。
カガリはカガリで、父、ウズミの手伝いをしているせいか、政治には詳しい。

僕はカガリの弟って事になってるけど、本当はどっちが兄か姉か･･･ましてや弟か妹かは区別がつかない。
まぁ〜双子なんだからしょうがないと言われればしょうがないのだけれども･･･。

カガリは活発だし、僕は余り活発とはいえない･･･。
似ても似つかない姉弟だと、時々言われるのにももうなれてしまった事だった。

アスラン：単純な話･･･遊びたいんだろキラは･･･。

大正解！アスランは溜め息を漏らしているけれども、本当をいうと僕の事を一番良く理解している。
だからアスランの考えている事も直ぐに分かるし、逆を言えば僕の考えをアスランは直ぐ分かってしまう。

キラ：うん･･･だから駄目？

そう僕が告げれば、アスランは何処か考え込んで表情を渋くする。
それもいつものお約束である事を僕はもう分かっていた。結局は承諾をしてくれるんだけど･･･。

アスラン：はぁ･･分かった･･予定は空けておくキラ･･･。
　　　　：っで？いつから何だ･･･その予定･･･。

もう諦めたのか、アスランは僕が先程話をした内容を確認する為に聞き返してくる。
勿論、アスランが僕のお願いを断れないのは知っているのだけれどもね。

キラ：明日から何だけど･･･。

そう話をし始めたら、アスランは手帳を取り出して確認をしている。
アスランも余程忙しいのか、手帳なくしては、生活できない状態になっている。

それ以上に、アスランって女遊びとか良くするって校内では噂だけれども･･･。
本当かどうかは定かではない。だって、噂だけで本当の事だという事を証明できる訳がないのだから･･･。

キラ：絶対だよ！アスラン･･･。

そう僕が呟けば、アスランは溜め息を漏らして･･･正直、これが承諾の言葉･･･。
アスランも名家だから、結構両親の付き合いとかで夏休みとかは埋まるのを僕も良く知っていた。

アスラン：分かったから･･キラ･･携帯なってる･･。

面倒見がいいのがアスランだけど、僕はどうしてこんな性格なのかなと思ってしまった。
ただの幼馴染なら考えている事も直ぐに分かるし、それ以上にどう思っているのかも･････。

キラ：あ！ラクス･･･うん･･･アスラン大丈夫だって･･･カガリは？

携帯電話を真っ先に取ればその声は、僕が今一番大切に思っている人物で･･。
僕はラクスに確認もあえて、受話器越しからの声を聞いている。

キラ：カガリも･･･そっか分かった･･じゃぁ〜明日･･去年と同じで･･。

そう呟くと、キラは携帯電話の受話器を置いて何処か微笑んでいた。
アスランはその表情からして、この予定は決定をしているという事を理解しているのであった。

アスラン：はぁ･･･仕方ない･･なるべく予定を空けるか･･･。

そう呟きながら、キラの前からアスランは去っていった。
無言の教室からの退室、それをキラは見つめていて、急いでアスランの元へと向かった。

幼馴染というだけで、どういう行動を取るのか互いに分かってしまうから･･･そして･･･。
それはキラとアスランだけにとって分かる承諾の言葉･･･だから言葉も必要はない。

キラ：アスラン･･全は急げっていうだろ･･･。

それでもこの話の決まりは早すぎるのではないのだろうかという事をアスランは、心の中で思っていたのであった。
だが、キラはそんな事にはお構いなし･･･それ以上に計画性がないのもアスランは承知していたのだった。

アスラン：はぁ･･･分かったよ･･･。

そう語りながら、下駄箱で上履きから靴に履き替えるキラとアスラン。
アスランは何処かキラの顔を見つめ、キラはアスランの支度を待って、外へ出るのであった。

アスラン達がそんな会話をしている頃、同じように彼女、・にも同じような話が持ち出されていた。
そうクラス内では仲の良い、シン・アスカやレイ・ザ・バレル達とだ･･･。

はその話に溜め息を漏らしてはいる･･･。
何故なら、にとっては借りなければならないのだから意味がない。

：はぁ？だから何で！？

従兄弟の別荘は確かに海沿い近くにあって、はその別荘を借りる事はできる･･･。
しかし、借りるのにも少々、従兄弟の性格から疲れる所もあるのであった。

言い方を考えなければ、海沿い近くの別荘を借りる事はできない。
ましてや、従兄弟が許可を降りたで、どう判断を取るのかいまいち分からないからだ。

シン：駄目っか？今回だけでも頼んでくれよ･･･。

シンは軽々とそういうが、確かに以前はシンやレイ達と共にあの場所を借りてたりはしたが･･･。
其処が気に入ったらしく、今年の夏休みも其処の海で泳ぎたいらしい。

はシンのお願いに溜め息をつきながら如何したものかと思っていたのだった。
そう、彼女は、従兄弟であるイザーク・ジュールが多少苦手な所もあったのだから仕方なかった。

：待った！毎回思ったけど、別にあそこでなくても海辺は他にもあるでしょ？

の言っている事は確かに正論だった。
だが、シン達にとってはあの場所がどうやらお気に入りらしい。

シン：良いだろ？あそこ結構気に入ってるんだしさ･･なぁ･･･。

だからって毎度の頼みごとに私、は本当に呆れていた。
シンは学校でもノートを貸して、テストの回答を教えて、勉強教えてなので仕方がない。

：はぅ〜まぁ〜シンの言うとおりなんだけど････。

どうも納得がいかないのがの心の中での感情であった。
どうすれば良いのかはもう既にの中では、正直に分かっていたのだが･･･

シン：別に良いだろ？ひょっとしたら違う友達も出来るだろうし･･･レイもそう思うだろ？

どうやらシンだけでは、私への説得力不足なのか、レイにまでも頼んできた。
レイはシンを見つめて、また一つ溜め息を付いて私の元にやってくる。

レイ：確かに･･シンの言ってることにも一理あるっが･･･の言ってる事も一理ある･･･。

夏休みは進学校でもやたらと課題が出される方だ、特に達の学校ではクラス別に別れる。
その為優秀なら優秀で、クラスがエリートになってしまう。

ましてや、それだけでクラスが決まる訳でもないのであるっが･･･。
夏休みで、遊ぶのなら宿題が終ってからの方が正直、後が楽しいというのがの感情であった。

：はぁ･･分かったわよ･･聞いてみるわよ･･･。

は溜め息と同時に、鞄から教科書を詰め込み、廊下へと向かった。
その時、ルナマリア・ホークに手を掴まれて、は目を白黒させる。

ルナマリア：そうと決まれば･････水着買いに行くわよ！

夏休みになると、の周りの友達の行動は本当に早かった。
いつも学校で生活をしているが、こんなに張り切ったりするのは学園祭や修学旅行、体育祭などだろう。

：ルナ･･待って･･っちょ気持ち早すぎだって･･･。

それでも強引にルナマリアの手に引っ張られながら廊下を歩いていった。
そのまま玄関先で、靴に履き替えて、結局ルナマリアと帰るはめになったのだった。

その一部始終をレイとシンが見つめていたのをは重々承諾をしていたのだった。
そして、強引にでもこの計画が決定している事に溜め息が漏れてしまうのであった。

シン：ルナ･･強引･･･。

その行動に冷や汗をかきながら、シンはを心配そうに見つめていたのであった。
レイはその行動を冷静しすぎなくらいに冷ややかに見つめていたのだった。

レイ：お前もいろいろ気をつけろよ･･･。

そう呟いたレイにシンは睨みをして･･･レイは先程の会話を否定する事はなかった。
それはとルナマリアのあの行動を見てしまえば誰でもそう思ってしまう事なのだろうが････。

シン：どう言う意味だよレイ！

レイに文句を言いながら、シンは帰り支度を始めていた。
その口文句にレイは気が付いたのか、レイは帰り支度を一時やめ、シンを見つめて答えた。

レイ：付き合ってるんだろ？ルナマリアと･･･。

そう告げるとシンは照れてしまい、何処か顔を背けまた帰り支度をしていた。
レイはシンの行動に図星だと分かると、そのまま帰り支度をするのであった。

そんな最中に携帯電話がなり、レイはその番号を確認すると声をかける。
その相手はであって、レイは直ぐに分かったのかシンを見て････。

レイ：シン･･･からだ･････。

レイの声にシンは今だ、先程の事で照れているのか･･･。
どうもレイの側まで行くのに、緊張をしている事が分かったシンであった。

シン：って携帯持ってたのか？何で･･･。

レイの携帯を見つめ、レイの顔と携帯を交互に見つめながらシンは考え込んでしまったのだった。
いまだにの行動が不明な事がありすぎるとシンは考えていたからだった。

『言い忘れたけど･･いつから･･･。』

耳元にその声が早速入ってきて、シンはどう対応していいか分からず････。
結果、呆れながらその質問にシンは答えたのであった。

シン：いつって明日･･･。

『明日！？決断早いわね･･･まぁ良いわ頼んでみます･･･用件それだけだから･･･。』

どの道受話器の向こう側では、はルナマリアを見つめながら呆れているのだろうと･･･。
シンは溜め息ながら考え込んでいたのであった････。

シン：おぃ･･･。

そのまま電話を切られてしまったのか、シンは呆然とその場で立ち尽くしていたのだった。
レイはそんな行動に溜め息を漏らす事しかできなくて、仕方なくまた自分のやるべき事に戻っていたのだった。

キラ：あれ･･････。

僕は携帯電話をしている違う制服を着たを見つめてそう呟いた。
僕の隣にいるのはアスランで、確かに僕達の高校も進学校だったけど･･･

そして目の前にいるの高校は実力が試される学園だった。
今は、違う高校で中々話をする事もできないけれども････。

アスラン：あ･･シンフォニー学園の生徒だろ？キラ知り合いか？

そう言えばアスランはに会った事はなかったんだっけ････。
僕はネイとは幼馴染だし、かといってイザークの従兄弟って話も聞いていた。

キラ：いや･･多分見間違いだよ･･･それよりさぁ〜アスラン･･･。

どうせ、みんな夏休みは全く違う生活を送るんだから僕が今、声をかけても何も始まる訳でもないし･･･。
アスランはそんなに、興味がないのか直ぐに話を紛らしてしまって･･･。

何処か、先程のに興味を持ったのか、アスランは多少ネイに視線を向けていたのであった。
それ以上に、が今いる店は水着専門店の店、声をかけずらくても当然の事だった。

アスラン：分かったから･･･キラ･･･明日、去年と同じ場所だろ？

僕が話しをしようとすれば、アスランは直ぐ僕が言いたい事が分かるのか･･･。
僕に顔を向けて、笑顔でこう答えてくるのであった。

キラ：流石･･･分かってるね！

そんな関係が僕達の間柄であった。親友というより兄弟のような感じだった。
幼年学校から一緒だったのだから無理もないのかも知れないのだけれども････。

：あれ･･･キラ･･･。

その頃、店内から微かに通路を通る人影に見覚えがある人物を見て、私は思わず声を出していた。
ルナマリアは水着に夢中らしく、それでもルナマリアの手に持っている水着は････。

：ねぇ〜ルナ･･貴方露出度高すぎるわよ･･･。

は溜め息を付きながら次々と手に持たされている水着を見つめていた。
的には余り着ようと思わないデザインが多すぎなのだ。自身呆れてものがいえなかったのも真実だった。

ルナマリア：何よ･･これくらいなきゃ女は磨けないのよ･･･。

一体何着更衣室に持ってって試し着をする予定なんだか･･･。
私は多少そんな行動に微笑んでしまった自分がいた。シンの予定も行き成りだったけれど･･･。

何より、夏休みに仲間と過ごせる以外の思い出何て考えられないのだから当たり前。
なら責めて、友達の付き合いは大切にしないといけないよねっと思っていたであった。

結局はルナマリアにその後、半日付き合わされるはめになっては疲れ果てていたのだった。
そして、夜近く、夕食を食べ終えた後、はある人物に電話をかけていた。

『またか･････貴様･･。』

電話をかけて、事情を説明をしたら受話器越しから溜め息を漏らしている従兄弟がいた。
その表情は呆れているのか、には大体が予想をつくものだった。

：ごめん･･でも貸して！お願い･･･。

シンやレイ･･･ルナマリア達に完璧に押されてしまった以上仕方なく･･･。
ましてやが断れる程の力量がない事すら、イザークには承諾済みであった。

『いつからだ！』

イザークはまた溜め息を漏らすと本題に入るのだった。
はその言葉が了承の意味をしている事は、昔から知っていた。だから･･。

：明日･･･ν

急な話でもイザークは何なり受け入れてくれる。
ただその急な話に呆れてしまうのは無理のない結果だろうが･･･。

『はぁ･･･分かった。だが･･･。』

毎回、別荘を借りる上でイザークには条件をが出される事を知っていた。
それを知っていながらも、周りからは断れないでいる自分がいるのであった。

：言いたい事は分かるから･･来るんでしょ？

は今度は、溜め息を漏らして、心の中では過保護な従兄弟だという事を思っていたのだった。
そんなイザークとは長年の付き合いだから仕方がなかったのだが････。

『当たり前だ！貴様より遅れるがな･･･。』

そう呟くと、受話器越しで手帳を開いているのを想像していたであった。
はそんなイザークを思い浮かべながら溜め息を漏らした。

：はぁ･･･だから頼みたくなかったのよ･･･。

思わず口にしてはならない言葉を出してしまって････。
は咄嗟に口元を押さえたが、イザークには微かな声でも聞こえていたらしく･･･。

『何か言ったか･･･。』

本人が今、目の前にいたら絶対に睨み越しで、何かを言われそうだと悟ってしまうであった。
それでも言い訳をしておかないと後がやばいというのも真実であって･･･。

：いえ･･何も、心よりお待ちしております。

冷や汗をかきながらその場で電話の受話器をおいたのだった。
難なく、別荘を借りる事は許可がおり、はこれからの夏休みがどうなるのか気になっていた。

何故なら、別荘で過ごす時間は長くも感じるし、短くも感じるからだった。
だから、これから先の夏休みの計画がどうなるのか気になる所であったのが真実だった････。