空中都市



「掟・・?ねぇ〜ばあや、掟って何?」

幼い頃、彼女は直ぐに両親は亡くなった。それでも彼女は両親の事は余り知らなかった。
生まれて直ぐに、彼女がばあやと慕う老婆や神官達の元で育てられたからだった。

白銀の方まで伸びている髪・・そして老婆を見つめるその双方が違う瞳。
それは子供時代に幾度となく、老婆に尋ねていた・・・。

世界の掟が何かを・・少女はその物語を聴くのが好きだった。
その頃の少女は物語は物語でしか存在しないと思っているからだった。

この空の・・豊かな大地にそんな掟がないように見えたからだった。
けれども少女時代はその事を知らない。空は、空に住まう者の都である事を・・・。

そして少女は今だにまだ世界を知らない。
この世界は少女が今、住まう世界だけではないという事を・・・。

「太鼓よりマート様がお作りになった運命ですよ・・姫様・・。」

そう老婆が答えると少女は瞳を輝かせた。
子供にとって神話は新鮮なもの・・けれど、老婆にとってはその神話は真実。

「そのマート様って?ねぇ〜ばあやは・・七賢者が存在すると思ってるの・・。」

少女が質問をすれば、老婆は何時でも答えてくれた。
その物語が、少女にとっては己の定めである事を知らない頃の心で・・・。



序 章 終焉の嘆き



その神話は、やがて始まりを意味する。
七賢者の御霊は、天と地が、マートの掟によって運命づけられる。

死者は何れ、この地に舞い降り終焉の嘆きは人々に届かず・・・。
されど、マートは世界を見捨てず・・・掟は残酷なれど、何れは導かれるであろう。

その掟が開放された時・・天と地は再び一つとなるであろう・・。
古に、マートが残した定めの始まり・・・その時、天と地の者は争いを好んでいた。

七賢者の魂は、真に平和を望む者・・・そして、秩序と盟約を守り秘宝を作る。
争いを好む者には裁きを・・掟は七賢者が世界の全てをしりし時、マートはその手助けをした。

そうこの神話は再び、終焉の嘆きの始まりを意味し、消して忘れてはならぬ存在。
天の者はそれを神話に讃え、地の者はそれを悪魔とののしった。

相応に七賢者の伝説は混沌の中で、日々忘れ去られようとしていた存在なのだ。
そして、その物語は天の者にしか語り継がれておらず・・・。

「七賢者は何れ我等をお救い下さる・・。その為に御霊は紡がれるのですよ・・姫様。」

少女は、その物語に夢を見、そして憧れを抱いていた。
老婆は少女の夢を見守り続けるように、そっと側に居続けた・・成人を迎えるまで・・。

「御霊?御霊って何・・ねぇ〜ばぁ〜や・・・。」

少女は幾度その言葉を継げても老婆は語ろうともしなかった。
その言葉の意味を少女は自然に覚え始めていた・・物心をついた時に・・・。

けれども、老婆は幼い少女が知識を学ぼうとしていた事を知っていた。
そしてその知識が今後、どのように活かされるのかも悟っていたように・・・。

「それは、姫様が時期に分かる事ですよ・・マート様の加護がある限り・・。」

権力が地では、全てだった。そうでなければ生きられぬ世界。
子供は、ただの役立たずとして売り渡され、奴隷になる事も多かった。

そんな幼い頃、彼はその権力を握る為だけに弟と、必死で生活をしていた。
幾度となく、盗みを繰り返し、幾度となく権力を手に入れようと願った。

既にその兄弟には、仕事に於いて養う事も出来る身内はいない。
自分達は、両親に奴隷として売り渡したのだ・・。けれども逃げ出した。

それからは、兄弟で生活をしていた。
その為には生き抜く知恵も、知識も全ての脳裏にたたき込んだ、

そして、彼はある日を境に、貴族に養子として入った・・そう弟と共に・・・。
貴族としも、戸惑いはあった。政治的な事を身につけ、全ての弱肉強食の世界で生きねばならぬ事。

そんな中で、彼は好敵手以外の相手を認める事はなかった。
彼は、父までもを殺め、全ての富みと権力を確実のものにしたのだった。

「生きる為には・・この世界に権力がなければ何も意味はない・・。」

その言葉は貴族に養子に出された時、直ぐにその者によって学ばされた。
そして上を目指さねば、全てが弱者となり滅びの通を行くのだとも学ばされた。

そして、地の世界では天で語られている神話は悪魔だった。
マートが世界の為に作られた掟は、地に住まう者にとっては、悪魔以外の何者でもなかった。

そして今も、その争いの火種は続いている。
マートが気付こうとしていたものなど、既に地にはない。

例え、それが天にあろうとも地にはない。
そして戦は続く、地は王権以外は何者でもない。天に住まう者になど会う事叶わず・・。

「兄様は・・マートが作られた掟を悪魔だと思ってるの・・。」

弟から幾度、その言葉が出ようと掟を信じる気持ちにはなれなかった。
マートが嘆き、掟を生み出した事を信じたくはなかった。

そして、天に住まう者は貴族の中でも希に等しい存在なのだ・・・。
そして、そんな中で生活をしていく中で、王家に認められた。

彼は、その養子として認められ・・そして初めて天に住まう者を知る。
そして天上人の持つ純白の羽は、マートの掟を彼に連想させた。初めて会った事を後悔を彼はしていなかった。

彼は、天に住まう者に興味を持ち、天の世界を知りたいと思った。
そしてその頃、幼い頃、少女が神話として興味を持っていた彼女も、また地の世界を知りたいと思った。

「天と地とは何なのだろうな・・。」

弟に問いかける言葉は、世界の理について聞いていた。
そして、何を望もうともそれは叶わない事を・・。そして知識として得ても・・。

「兄様はあの掟を本当に偽りだと思ってるの・・。」

物語は全て神話・・空蝉の中で幼い頃に二人が芽生えた心・・。
そして終焉の宴を開のも・・・また彼らしかいないのだから・・・。それが運命。

互いに興味を惹かれていく・・そしてその運命はやがて賢者へとなる。
天には女神として、七の秘宝の宝が・・そして、その賢者は天に住まう者の支えだった。

けれども交差する運命には抗えなかった。
幼い頃に、悪魔など、そして神話としての語りが彼らの臨みを背負う事になるとは知らずに・・・。

今だにまだマートは嘆き続ける・・。終焉の物語は、再び始まりを続けるのだから・・・。
そして、それは再生を意味する物語・・この世界の本当の始まりの・・・。


Music Box/VAGRANCY 志方あきこ by:箱庭の外で
連続小説「空中都市」如何だったでしょうか?
改正前のは、序章ないから駄目駄目だと判断しました。しかも内容も曖昧。

設定内容は変えないんですが、やはりどうしても鍵となるの出さなきゃ駄目だなと・・
改正を行ったのは、文章的にも曖昧し過ぎて、いまいちではないかと・・(おぃおぃ・・。)

瀬人とヒロインの関係は元々、前世からある設定何で・・
やっぱ、過去にとっても現世にとっても重要な人物出さないと駄目でしょう?何て判断しました(遅いよ!)

マートはエジプト神です。正義と秩序・・掟などを司る神です。
この小説は掟などや、過去とか結構使うんで・・ピッタリかと・・・(ははははぁ〜)

それでは、続きをお楽しみ下さいませ・・・。

By:七瀬 ネイ