第二章
「・・・・・覚悟は出来ているか?」
「・・・ハイ・・・でも、何で急に?」
「イシュバール人が残っているようなのでな・・・
三年前と同じだ」
「イシュバール殲滅戦・・・」
「そうだ・・・」
「ラースも戦争が大好きなのね」
「だが、今回はには辛い戦いになる」
「どうして?」
「おまえには、鋼の錬金術師を殺す任務がある
最近、仲が良くなってきたからな・・・私情を挟まれては困る
出来るか?」
「ぇぇ―――問題ないわ」
「ラースに逆らえるはずないよね・・・
なんてたって命の恩人だし?」
「―――ッ!エンヴィー何時の間に!?」
「さっきからずっといたよ?
そんなんで殺し合いが出来るの?」
「五月蝿いわ・・
私はどのホムンクルスよりも強いのよ?
私を誰だと思っているのかしら?」
「アハハw分かってるよ・・・最強の―――」
「我がキング・ブラットレイの名において命ずる。
この時から、生き残りのイシュバール殲滅戦を行う!」
「yes sea!」
「全軍出撃!」
兵士が、戦いに向かっている中、エドワードはと戦いを共にした。
「エドっそっちはどう?」
「よゆーよゆー!」
そう言うエドワードの顔はどこか辛そうな顔をしていた。
とても余裕には見えない。
は、自分の敵を殺すとすぐにエドワードの援護へと向かった。
「大丈夫そうにはみえないわね・・」
「ハハ・・・には何でもバレちまうな・・
殺しなんて初めてだからな・・・どうしてもトドメを刺す時に躊躇するんだ・・」
「戦争に・・・殺しに私情を挟んではダメよ・・・
殺られる前に殺らなきゃ・・・後悔するわ・・」
の声はどこか寂しそうで、エドワードは何て言ったらいいか分からなかった。
そんな二人の隙をついて後方から敵が向かって来た。
「エドッ!」
「――――――ッ!」
敵を刺そうとした所で、エドワードの顔が苦痛の色に変わる。
「オレには・・・殺しなんて出来ない!」
「甘いわね―――」
は短く言葉を紡ぐと敵の心臓を刀で串刺した。
「ぐっ・・・がぁ・・・!」
敵は・・・女
「しかも、子持ち?妊婦か・・」
そう呟くともう片方の手で刀を掴みその赤子の宿っている腹を突き刺した。
すると、女は力尽きたかのように死んでしまった。
「死んだ・・・か」
感情のない声でそう呟くと刀二本を、ぐちゅ―――と音をたてて女の身体から抜き取った。
そして、血が滴っている刀を手にエドワードに向き直る。
その顔には、さっきの女の返り血が付いていた。
「エド・・・これが戦争よ」
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Music Box/VAGRANCY by:石の褥 |